42.空間の広さと子どもたち

子どもたちがノビノビとしているかどうかは彼らの動き方、遊び方に表れる。
窮屈に感じる空間では、遊びは小さく、あまり動きを伴わないものになりがちである。
これは当然といえば当然で、走り回るには走るだけの広さ、長さが必要である。数歩で壁に行き着く空間で走る必要もないし、走ってもぶつかるくらいのものである。狭いところで走ってみても面白くも楽しくもないのだろう。子どもたちは狭い空間に置かれれば安心して落ち着いているように見える。しかしいつも狭いところを好むわけではない。子どもたちにとっては両方の空間が必要なのである。

ノビノビを英語では、free and easy とも表すようだ。
Free とは制約がない事だろう。制約には、空間的なものも精神的なものも含まれると考えられる。つまり、子どもたちにとって、坐ることも歩くことも走ることも寝ころぶことも自分の判断で出来る空間がノビノビできる場となる。日常生活の中でも、保育園や幼稚園など集団生活の場でも、空間の広さが保証されることは子どもたちにとって大切なことである。いまどきの子どもたち云々をいう前に、いまどきの大人たちは、子どもたちにどのような空間の広さ与えているかを考えるべきだろう。公園にしても、道路にしても、あちこちの広場にしても、室内空間にしても、子どもたちにいろいろな制約を加え過ぎているように思う。この制約が少なくなれば子どもたちは「昔」の子どもたちになるだろう。子どもたちが変わったのではなく、周囲が変わってきているのだから。

Easy とは子どもたちが安全で安心してゆったりと出来ることだろう。
広い空間のみでは子どもたちが落ち着いて、じっくりと、いろいろなことに取り組むことは出来ない。子どもたちは、広い空間と同時に狭い空間も好むのである。遊びには、広い空間で行うものもあれば、狭い空間に似合うものもある。狭い空間で子どもたちがくっつき合いながら遊ぶのも必要なのだ。

広い空間、狭い空間、ほどほどの空間、いろいろな空間が子どもたちにとっては必要であり、時と場合により子どもたちが自ら選ぶことが出来る、これが大切なのだと思う。(K.Tanimoto)