53.原則は変わらない(2) 保護者への支援①

新制度で子育て支援がこれまで以上に特定教育・保育施設(以後、保育園)に求められている。
日本の少子化は確実に進行しており1年間の出生児数が100万を割るのも目前である。
この少子化に歯止めをかけていく一助として子育て支援は役立つ施策であろう。
子育てしにくい文明社会ではなく、文明、文化を享受して皆で子育てを行う
社会を目指していくべきであろう。

子育て支援というとどこまでも広がってしまうので、
ここでは保育園で比較的取り組みやすく効果的なものから言及したい。

保護者は夕方、買い物をした後で保育園に迎えに来ても良い、
個々の判断に任せるべきだろう。
子どもを連れて買い物に行ったことがなくても分かるだろう、
子どもたちが玩具やお菓子などの前で買って欲しくて泣いているのが。
目の前に欲しいものがあれば泣いてでも手に入れたくなるのは当然だろう。
このような事態を防ぐ確実な方法は子どもたちをそのような場所に連れて行かないことである。
そのためには買い物を先に済ませてから子どもたちを保育園に迎えに行けば良い、簡単である。
時には玩具やお菓子を買う日もあるだろう、
そんな日は先に保育園に迎えに行き買い物に一緒に行けば良い、
これでももっともっとと玩具やお菓子を欲しがって泣くかもしれないが。

 

保護者が休みの日や土曜日に子どもたちを保育園に登園させることに
ついても同様に個々の判断で行われて当然である。
休みの日にしかできないことも多々あるし、
子どもたちが是非登園したいと希望する可能性もある。これは個々にしか分からない。
普段仕事に育児に家事にと忙しく、大きな買い物もままならず、
掃除洗濯ももっとしたい時もあるだろう、たまには映画に行くのも良いだろう、
これも個々の判断である。

ヒトの生活を見るに、①独身の時と②結婚してからと③子どもが生まれてからと、
いつが一番楽しく充実した人生となるか。
これは①→→②→→③の順であって欲しい。
③になって、子育てにのみ追われて疲れ果ててはいけない。
保育園を作って子どもたちを社会で育てていくことができるのは人間のみである。
せっかく作られた制度をフルに活用して子育て支援をしっかりと行い子
育てのしやすい社会にしていくことが専門職である保育士に求められている。…

52.原則は変わらない(1)

保育園の役割は、新制度において明確に規定された。施設そのものが、教育・保育施設と分類され、これまでの保育所とは変わっている。また、教育・保育施設に求められるものとしてこれまで以上に育児支援がある。これは公定価格にも組み込まれ、育児支援を行わなければ評価されない、金銭的に言えば、すなわち給付費が下がってしまう。

育児支援というのは、決して親支援のみではない。子どもたちにとって良いという前提での親支援である。
よく考えて欲しい。例1。極端な例で考えてみる。
専門職についている保護者の仕事が夕方7時30分まで。この保護者に早く帰るように、そして早く子どもを寝かすように、遅くとも9時までにはと専門職の保育士が強く指導したとすればどうなるか。

このように言われた保護者の出来る対応は
① 専門職の保育士のせっかくの指導であるが、無視してしまう。

② 指導に従って、今の職場で今のままで働きながら9時に寝かすように頑張ってみる。
しかし、職場7時30分まで働いて急いで保育園まで迎えに来て、急いで帰って、
風呂に入れて寝かしたら、どうやっても9時に寝かすことが出来ない。
どうしたら良いか、自分は子どもに悪いことをしている悪い親だ。
いつか子どもが問題を抱えてしまうのではないだろうか?

専門職の保育士にもう一度相談してみよう!
1)専門職の保育士は転職を勧めた。それに従って辞表を用意した。
転職先を探してみるがこれまでより条件が悪くとても無理。
2)専門職の保育士は7時30分ではなく、7時で仕事を切り上げることを勧めた。
職場にその旨通告し、7時で帰宅した。職場は混乱し、
多大の迷惑がかかり退職せざるを得なくなった。失業手当で凌ぐ羽目に。お先真っ
暗。
3)専門職の保育士は頑張ってください、というだけで解決策は示してくれない。
結局罪悪感だけが残ってしまっている。一生この罪悪感を持ったまま生きていくし
かない。

この専門職の保育士の言動、行動はどう考えるべきだろうか??
家族は保護者のみで成り立つものでもない。
子どもがいても子どものことだけ考えていれば良いわけでもない。
全て含めて総合的に考えることが必要である。

 

今後、この専門職の保護者、家族について考えていきたい。

 

 

——————————————————————————–Kaname Tanimoto 15.05.25

 …

51,熱中症

今年も熱中症が多く発症していると報道されている。
熱中症という病名から、どうしても熱(暑さ)が原因と考えられがちになる。
しかし、熱(暑さ)が関与していることは間違いないが、もっとも大きな発症原因は水分不足である。
水分不足(急激に起こる脱水症)が熱中症を引き起こすと考えて対処が必要である。

急激に起こるため、症状が出始めてからでは水分補給は間に合わない。
冷却も無駄ではないと考えられるが、本態である脱水症は冷やすことで解消されるわけではないので、
冷やしているから大丈夫と安心してしまうと手遅れになることもある。

めまいや立ちくらみ、吐き気、フラフラするなど軽度の時でも、
冷やすだけでなく「水分補給が出来るか出来ないか」が医療機関受診の判断基準になる。
脱水症だから水分補給が出来るということはなく、むしろ脱水症のため経口水分摂取が
出来なくなることが多い。

熱中症は予防が肝心であるが、水分が欲しくなったら飲めばよいのではなく、
事前に予防的に水分補給を行っておくことが有効である。

炎天下で運動をするのであれば、運動開始前に水分を補給し、
運動中も早め早めに水分を飲むことが運動中の熱中症予防の方法である。
一斉に飲めばよいのではなく、個々人に合わせた水分補給が必要である。

屋内や日陰でも同じことで、必要な水分が補給されていないと熱中症になってしまう。
炎天下から日陰に移動し安心してしまい、水分補給を怠ると熱中症になるので注意が必要である。…

50.嘔吐・下痢 水分補給

最近ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行している。嘔吐、下痢、発熱、腹痛、頭痛などがみられる。

 

嘔吐はひどい時は一晩に10回以上あり、朝にはぐったりしてくることもある。嘔吐は3日~4日続く時もある。発熱は10人中2~3人にみられ、2~3日くらい続き、高い時は40℃を超えることもある。頭痛は結構強く、大きな子どもたちや大人の表現を借りれば「頭が割れそう」というくらいである。下痢は特効薬があるわけではないので食事療法が大切である。適切な食事療法を怠ると延々と下痢が続くこともある。長い時は月単位になり得る。腹痛は腸が動く時に生じてくるので間欠的である。痛みが間欠的でなくなってきたら別の病気を考えるので受診することが大切である。下痢が出る前には主に下腹部(ときにヘソの周り)に結構強い痛みが生じることもある。また、嘔吐の前には「みぞおち」のあたりに我慢できないくらいの痛みが生じ、顔色も真っ青になったり、冷や汗が出たりすることもある。

食事療法で大事なのは水分補給である。目安として、体重が10kgまでの場合、体重1kg当たり100mlくらいは最低必要である。つまり、8kgであれば800ml以上、10kgであれば1,000ml以上が必要となる。15kgくらいだと1,200~1,300ml、20kgであれば1,500ml程度となる。これは最低限であり、下痢にたくさんの水分が出てしまえば、それを補う必要があるのもっと増やす。また、尿量が確保されているかどうか、こま目に注意をしていくこと水分が足りているかどうか判断できる。無色透明無味無臭な尿がいつもと同じくらいの量出ているとOKである。黄色みが強くなり異臭が出てきて、更に紅茶のような色になり尿量も減ってきたら脱水症も考えなければならない。体重計測して減っていくのは困る。

食事の内容としては、おかゆ、うどんが主になる。出来れば舌で潰せるくらいの固さのものが良い。冷たいものは良くない、腸を刺激し動きを激しくする。油もない方が良い。油は腸から吸収されるまでに時間が掛かるので、腸の動きが早くなっている時には摂取しないことである。果物では、リンゴ、バナナは大丈夫と考えている。リンゴは摺りおろしたものが良い。飲み物は、子どもたちが飲めることが大前提である。飲みにくいもの、飲めないものを勧めても、飲んでくれないことにはどうにもならない。スポーツドリンク(これも色々ある)、薄い紅茶、砂糖湯、お茶(これも色々)、経口補液製品(これも色々)など色々試してみるとうまくいくこともある。…

49.支援の必要な保護者

支援が必要な保護者と特別な支援を必要としていない保護者がいるのは当然であろう。
そして多くの保護者は特別な支援を求めてはいない。
家庭の中で、地域の中で、友人関係の中で、また色々な公的・準公的な機関・施設をよく調べて知っており、利用することも上手である。

 

一方、少数派ではあるが、特別な支援を必要としている保護者が存在する。
当然保護者と一緒に子どもたちも暮らしている。
子どもたちも育ち、発達していくために支援を必要としている。
このような状況の中で、子どもたちへの支援を行うのみでは解決は難しい。
どうしても保護者、家庭、時には親類縁者、保護者の友人にも支援が必要となる時もある。

子どもたちが育ち・発達していくためには環境要因も大きな影響を与える。
保護者などを含めた子どもたちの環境を整えていくことが求められる。
このために重要になってくることは、子どもたちを取り巻く環境を良く理解していくことである。

理解していくためには保護者との良好なコミュニケーションを保つことは最低限のことである。
その上で、周囲の人たちとのコミュニケーションも大事であるし、子どもたちの暮らす環境そのものを自分の目、耳、鼻など5感で実際に知っていくことも求められる。

困っている保護者の方から「支援」を求めてくることは少ないだろう。
「支援」について知らないことも多い、「支援」を求めることに大きな抵抗感を感じている人もいる。

「支援」を知っている人から手を差し伸べることが必要なのだ。
「支援」の門戸はまだまだ狭い。広くしていくのは当然だろうがそれを待てない現実がある。

保育園は「支援」を行いやすい施設の一つである。

門戸を開放して「育児支援」に取り組んで欲しい。

 …

48.保護者への支援

地球上には70億人が生きているが、皆、個性的であり、同じ人はいない。
子どもたちも皆個性的であり、保育を行う上で一人一人の発育・発達について、
生まれてから現在までの過去を理解すること、現在を理解すること、
そして未来を考えていくことが求められる。

子どもたちと同様、保護者もいろいろである。
家庭の中にいろいろな問題を抱えながら子育てに奮闘している保護者、
病気の身体を奮い立たせて一所懸命子育てをしている保護者、
経済的に困窮しているが何とか子どもたちの成長を保障しようと苦労している保護者、
あまりにも多くの困難に直面し育児が出来なくなりそうな保護者、
とにかくいろいろであろう。

保育園は「育児支援」を行うという建前があり、
何となく保護者の味方をしているように見せかけているところが多い。
しかし、少子高齢化が急速に進む中で、保育園の存在意義は大きくなっており、
親身になって心底保護者の味方になっていくことが求められている。
日本の出生数はもうすぐ100万人を割り込んで行くことになろう。
どこで止まってくれるのか、誰も知らない、未知の世界である。

子どもたちが全く居なくなった社会は早晩消え去るのみであろう。
多くの子どもたちが育ちやすく、育てやすい世の中が今求められている。
子育てを支援すると声だかに叫んでも子育て支援にはならない。
一人一人の保護者ときちんと向き合うことから「育児支援」は始まる。
一人一人の保護者の話を傾聴し、一人一人の保護者を理解することが必要である。
そこから「支援」が始まる。

一人一人に必要な「支援」を考え実行していくことが保育園には
今まで以上に求められてくる。保育園のスタッフ一人一人が自らの
果たすべき役割の重要性を理解し、「育児支援」に取り組むことが喫緊の課題である。…

47.土曜日の保育

土曜日も保育園は原則として開園している。
産業構造の変化から、サービス業は増え続け、土曜日、日曜日に営業している企業はたくさんある。そのおかげで、皆、土曜日、日曜日に買い物に行ったり、遊びに行ったり出来ている。土曜日の保育が必要な子どもたちが増えていくのは今後も続くだろう。
また、土曜日の保育は、育児支援の観点からも必要である。土曜日(平日でも)が休日の保護者に如何にももっともらしく「子どもさんは保護者が休みの日には一緒に居たがっています。一緒に遊んで上げて下さい」などという。結局保護者は貴重な休日をすべて子どもと一緒に過ごすことになる。普段働いている保護者にとって、休日しか出来ないことも当然ある。子どもと一緒に居たいと思っても、一緒では出来ないこともある。これを如何にもらしい言葉で保育を拒否されてしまうと保護者は追い詰められていく可能性がある。保育園は、育児支援として「保育をすること」が最大の責務である。保護者の生活全般を考えた上で対応することが求められており、安易にもっともらしい言葉を用いて「保育を拒否」すべきではない。…

46.育児支援

約束を守ることは極めて重要であり、守らないことによるリスクは大きい。信号無視は車がぶつかってきても文句も言えない。飛行機に乗る時に搭乗時間を守らない人のために多くの人の時間が潰される。メニューの虚偽記載は美味しいと思って食べたのだからまあ良いか。
物事が速やかにトラブることなく進められるために約束をする。ある目的を遂行するために約束をする。
約束をした、その目的を忘れてしまいがちになるのも人間である。目的を忘れ、約束のみに捉えられてしまっては何のための約束か!本末転倒である。
いろいろな組織には、いろいろな約束事があり、その約束事によってその組織の目的が達成される。しかし、約束事はここでも目的達成のためにあるのであり、例外的に目的達成のために約束事を「一時側に置いておく」ことも起こりうる。
保育園の大切な役割の一つに「育児支援」がある。「育児支援」とは文字通り「育児」を行う人たちを支援すること、出来る限りのことを行い「育児」が楽しく、自信を持って行えるようにしていくことである。「育児」をしている今が人生で一番楽しいと思えることである。そのためには「育児」をしている人の人生も楽しくなければ!
子育ては24時間365日続く長い道のりである。その中には息抜きも必要である。映画を観て喜んだり悲しんだりも必要である。買い物を楽しむことも、子ども抜きの食事を楽しむことも必要であろう、時には飲むことも。それらを快く受け入れることが出来る組織が「育児支援」を行うことが出来る。
休みの日に「大掃除」、休みの日に「美容院」、休みの日に「一人で読書」、そのために子どもは保育園に。良いではないか。皆で一緒に「子育てを」! これが「育児支援」の重要な一面を表している。…

45.目線2

目線というとどうしても目や視線のことに囚われてしまう。
子育て、保育をする中で目線として考えることは他にもありそうである。

子どもたちは生まれてから日々成長・発達していく、
この日々の成長・発達をよく理解し、把握して行く必要がある。
成長・発達していくのは目の位置だけではない。身長、体重だけでもない。
言葉、動作、理解力、手や指の使い方、寝返り、お座り、つかまり立ち、
歩行、走る、飛ぶ、作る、読む、書く、・・・いろんなことが
出来るようになっていく。

しかし、ここには段階がある。その段階をよく理解していくことが
子どもたちの発育支援には求められる。
子どもたちを安全に見守っていくことは、
その子が今どの段階にあるかを理解しないと出来ないことである。

何かの上に乗って飛び降りることは子どもたちにとって冒険であり
うまく出来れば楽しいことであろう。
これには段階がある。
這うことしか出来ない子どもが1mの所から飛んだ(落ちた!)とすれば、
かなり危険なことだろう。しかし、歩けるようになり、走れるようになり、
飛ぶことを繰り返し、徐々に高いところから飛べるようになれば
危険はなくなっていくだろう。その子が高いところから飛ぶのを見守ることで
安全を確保していくことが出来るであろう。
危なそうだからという老婆心から飛ぶことを禁止するのではなく、
肝心なのは、どれくらいまでなら安全か?を的確に判断することである。
そうすればその子はさらに高いところに挑戦できるだろう。

これは、言葉など他の面でも同じことである。
言葉で言えば、生まれたばかりの子どもに言葉を理解せよということはないだろう。
しかし、3歳くらいになると多くの子どもがよく喋るようになる。
聞いているとよく分かって喋っているようにも聞こえる。
しかし、ここでも発達の個人差は大きく、
一人一人のことをよく理解することが求められる。
子どもたちとのコミュニケーションを確立していくのは大変な労力が必要だろう。
子どもたちに伝達できたと勝手に大人が思い込み、伝わらないのは子どもたちに
責任があると思ってしまう(言うことを聞かない、無視するなど)。
だからつい大声を出して叱ったり、脅したり、時には手や足が出たりということになる。

言葉でも同様に、
どこまで理解して喋っているのか、
どんな言葉で伝えれば伝わるのか、
どんな状況で伝えるべきか、
など大人の側が十分配慮して話しかけるべきであり、
きちんと伝わったかどうかの判断も慎重に行うことが肝要である。

——————————————————————————–Kaname …

44.腹巻き、スリーパーの効用

子どもたちの肌荒れが秋頃から目立つようになったと以前に書きましたが、
冬真っ最中の今でも同様に肌荒れが目立っています。

よく聞くのが、子どもが夜間、布団から飛び出して、
気がつくと布団・毛布など何も掛けないでいる。
寒いのではないかと心配で厚手の布団を使用したり、
厚手の毛布を重ねたりしているが、飛び出すことはいっこうに収まらない。

いろいろ聞いてみると、腹巻きやスリーパーを使用し、
厚手のパジャマを着せ、さらにトレーナーを着せて寝かしているという人まで現れた。
さらに夜間も寒いと思い暖房をしたまま眠るようにしている人もいる。

このような場合、子どもが夜間に掛け布団の中に収まっていることはないようで、
子どもは皆、親の努力にもかかわらず、布団の外で眠っている、汗をかきながら。

子どもたちは暑がりであり、暑いのである。
昔のすきま風が入るような家の作りであれば腹巻き、スリーパーも立派に役立つかもしれない。
しかし、日本の家屋の多くはサッシが使用され、
屋内は暖かく、すきま風などなくなっているだろう。
この状況では、腹巻きやスリーパーは子どもが暑くて困ってしまう。

さらに、暑いから夜中に取ろうとしても、
親切にも出来るだけ取れないように作られているから取れはしない。
結局暑くてたまらないけれど我慢して朝がくるまで待つのみである。
この間に汗はせっせと肌荒れを作っている。

腹巻き、スリーパーは無用の長物になっている。

——————————————————————————–Kaname Tanimoto 14.01.26…