保育に関するコラムを
綴っています

63.これは許される?

子どもたちは日々発達し、日々置かれている状況が変化している。
朝の食事にしても、毎日同じ量を食べてきているわけではない。
昼の給食も好き嫌いがあるし、美味しいかどうかは個々人により違うし、日々違ってもおかしくない。   たくさん汗をかいた日は水分と同様、塩分が美味しく感じられるだろう。

すべての子どもたちに同じ量を食べさせようとすることが無理なことは多分保育園では常識となっているだろう。しかし、小食の子に少なく盛って、これだけは食べようね!などはあり得るだろう。せっかく考えて少なくしてあげたのだから「食べてよ!」ということだろう。

しかし、最終的に食べることを決めるのは子どもたちである。少なく盛ったら足りないこともあるし、逆にそれでも多いこともある。どうやって、今、その子に、最適な量を計算し、計量できたのか? 心の奥底で「食べてよ!」などと思わないことである。子どもたちに任せれば良い。
偏食?についても余計なお世話、脅し文句が蔓延ってしまいがちである。美味しいくてもっと食べたいために野菜を残せば、「野菜を食べないとお変わりなし!」、これも常套句になってはいないか? 気をつけたい、何気なく言ってしまいそうだから。これも大人が子どもに言えば結構有効な脅し文句なってしまう。

千葉で2歳児に無理矢理食べさせて、虐待で逮捕され、姫路では逆に給食が少なくて園が潰れ、いずれにしても子どもたちに必要な量は、子ども本人以外には分からない。無理を押しつければ、体罰、虐待となってしまう。注意したいものだ。…

62. 写真、文字、絵などでの指示・命令

棚や「かご」などの入れ物に、並べるべき、入れるべき、おもちゃやカードなどの写真を貼って「片付けやすく」している例が見られるようになってきた。
これは新・保育指針でおこなわれる講演会などでスライドなどで示されたものを学んできておこなっている。あるいは他の法人の保育園でおこなっていて、子どもたちが片付けが上手になったなどの話から取り入れてきているとのこと。

このような方法で子どもたちが上手に片付けることができるのは間違いないだろうと思います。
しかし、よく考えてみてほしい。これは、子どもたちに、貼った写真と同じようになるように強制していることにならないだろうか?子どもたちは真似をすることは考えても、自分でものの置き方を自由に考えることはできない。失敗して工夫を重ねる事もない。 ただ黙って考えることなく上手に真似をすることで褒められる。

真似ができない時は怒られる?先生の顔つきが変わる?嫌みを言われる?何回教えたらできるの?昨日も教えたよ、00さんは上手だよ!

ただ真似をすることが目的ではなく、子どもたちが自ら考え、工夫して片付けていくことの方が大切ではないだろうか?

散らかっていたら職員が片付ければ良いこと。
子どもたちが片付けようとして困って相談にきたら少しヒントを与えれば良いこと。きれいなことだけが良いことでは決してないと思います。

ある保育園の運営法人に応募した時に、当法人運営園見学の時「この保育園は、すごくきれいに片付いていますね。きれいですね。でも、子どもたちが遊んでいる、遊んでいた痕跡がありませんね。」ということで選考されませんでした。

2019/02/28

aname tanimoto…

61.機嫌の悪い子(厚着)

                                     「子育て広場21」《育児あれこれ》2015年6月15日から転載
 
子どもたちが機嫌が悪くなる原因は様々です。
その中のひとつに暑くて耐えられない状況があります。
 先日、飛行機に乗ったとき、飛び立つ前に泣き出して、
お母さんがどうあやしても泣きやまない1歳くらいの子どもがいました。

席に着いたときはカーディガンも着ていましたが、
お母さんは暑いのではないかと考えたようで、まずこれを脱がしました。
  これでほんのしばらくは温和しくしていましたが、
飛び立った直後から再び泣き出しました。
 私も上着を着てはいましたが、機内は結構あたたかく感じていましたので、
子どもならおそらく暑かったと思います。
  この子はカーディガンを脱いでも、下着の上に厚手のTシャツ(?)を着て、
さらにつなぎも着ていました。

飛行機のシートベルト着用サインが消え、機内で飲みのもが配られ、
この子は冷たいジュースを貰い飲み始めると再び落ち着いてニコニコし始めまし た。
しかし、これも長くは続かず再び泣き出しました。
お母さんは抱き方を変えたり絵本を見せたりいろいろ工夫をしていましたが
いっ こうに収まりませんでした。

よけいなお世話とは思いましたが、まだ着陸までは間があったので、
「多分暑いのだと思いいます。少し薄着にしたりして涼しくしてみたらどうです か?」
とアドバイスしました。
お母さんの隣の座っていたお祖父さんらしき方が本を使って
あおぎ始めてしばら くしたら落ち着いてきました。
(ちなみに、このお祖父さんらしき方は飛行機に乗った時点から
  ブレザーを脱いで居られました。)

さらに、お母さんがつなぎの肩ひもを緩めて涼しくすると機嫌は良くなり
眠ってしまいました。
無事着陸し、飛行機から降りるときも、気持ちよさそうに眠ったまま、
お母さん に抱かれて降りていきました。

 子どもたちが機嫌が悪くなった時の原因のひとつに暑すぎることがあります、
いつも配慮しておきたいことだと改めて思いました。
 ——————————————————————————–Kaname Tanimoto 16.04.02

60.ブログ再開…

60.ブログ再開

 社会福祉法人 尚徳福祉会のホームページのホームページも大きくなり、
整理が行き届いているとは言い難く、読みづらいというご意見を頂きました。
 これを機に「育児あれこれ」や「育児相談Q&A」などあちこちに書いてきたものを、
再読し、手直ししながらブログに移行することにしました。

これまでに「育児あれこれ」などをお読み頂いた方には繰り返しになり煩わしいとは思いますがご容赦願います。

 ——————————————————————————–Kaname Tanimoto 16.04.02…

59.発達障害2 2歳11か月男児

ある日の保育日誌から
近くの体育館まで行った。体育館や公園などの広いところが苦手のようで、今日も皆から外れて一人で走っていた。いつもの姿である。狭いところを好む。
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この日誌の記載の通りで、この子は広いところは本当に嫌いなのかもしれない。
広いところに行くと何をしたら良いのか分からないのだろう。

この子が広いところでも興味を示す遊び、遊具は見つからないのだろうか、
この子にとって狭くも広くもない、丁度良い広さの遊び場はどれ位であろうか、
このような検討がされると何か見つかるかも。

この子が興味を持つ遊具は何だろうかと探してみるとよいだろう。
いつか見つかるかも。
この子が一緒に遊べる何かを見つけることが、この子の発達に役立つだろう。

狭いところが好きでいつもそこに居たがるのだから、
その邪魔をしないようにしよう、と考えるのではなくて、少し考え方を変えていこう。
狭いところも広いところも自由に行ける方が多分楽しいと思う。
そのためには、何があれば広いところで楽しむことができるか、
いろいろ探していけば、
少しずつ広いところに向かって出て行くことができるようにならないだろうか?…

58. 発達障害? 2歳11か月男児

2歳11か月男児
ある日の保育日誌から

給食の時、友だちの食べる姿を見るように声をかけ、「おいしそうだね」「上手に食べてるね」など声をかけていると、その姿を見て真似て食べようとする。
保育者が介助することは嫌がるので、カボチャを少しのせたスプーンを手に持たせると口に運び食べてくれた。一口だけであったが、保育者は「おいしいね」「食べられたね」と声をかけ、十分に褒めるようにした。今までご飯以外口にしたことがなかったので保育者皆で喜んだ。今後も無理強いせず、食事を楽しいと感じられるようにしていきたい。
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スタッフは何とかいろいろなものを食べて欲しいと頑張っている。その頑張りがなかなか通じない。一口でも食べてくれた喜びが伝わってきます。食べて欲しいという気持ちは大切です。いつか通じるものです。あきらめないことが大 切です。

この場面も含めて、もう一工夫するともっと通じるかも。

【食物アレルギーの場合】
食物アレルギーがある子の場合、もっと工夫をし、努力をして対応していると思います。食材にアレルゲンが入らないように、食べる時に誤食しないように、誤って食べた時どうするか等々。これはどこでもおこなっていることではないでしょうか。

【この子のための献立】
この子はご飯しか食べてこなかった。多分そうなんでしょう。これまでスタッフは出てきた献立の中から何とかご飯以外を食べてくれないか、一口でも!と思って頑張ってきたのでしょう。皆で喜んだ!、それくらいうれしかったのでしょう。皆で頑張ってきた思いが伝わってきます。
献立作成時に立ち返って、「この子のための」献立まで工夫をするともっと思いが伝わっていくのではないでしょうか。
皆のために作られた献立を想いを込めて食べてくれ!というだけでなく、調理室のメンバーや看護師なども一緒になって「この子ための献立」「この子が食べる献立」を作ることが出来ると良いと思います。食材選びも大切ですし、調理法も大切です。

【この子のための食器選び】
《手で食べる》
この子はスプーンでうまくすくうことが出来ないようだ。この子が出来ないのか?
できないなら手で食べることもひとつの方法と考えてはどうだろうか。
いつか上手に道具が使えるようになるのを待っても良いと、気長に考えるのもひとつの方法でしょう。

《スプーンの形》
スプーンの形を考えてみてはどうだろうか。スプーンの匙の部分は掬いやすいか、柄の部分は掴みやすいか。

《皿や茶碗》
皿や茶碗についても考えてみてはどうだろうか?スプーンで食べるのに向いているか。浅すぎたり,深すぎ
たりしてはいないだろうか。大きさは合っていて食べやすいだろうか。

《食事》
出された食事はスプーンで食べるのに向いているだろうか?堅さはどうだろう。大きさはどうだろう。
この子が「おいしそう」で食べたいと思うようなできあがりだろうか。

できればスタッフから「おいしいね」と言われる前に本人が「おいしい」と喜んでくれるとうれしいですね。…

57,母乳はいつまで続ける

 母乳はヒトが地球上に誕生してからずっと子どもたちの成長を支えてきたと思っています。母乳がたくさん出る、少ししか出ないは母親によっていろいろです。昔、よく出る母親は出ない母親の子どもに分けて与えたりもして子どもたちを守り育ててきたことでしょう。
 このような母乳について、前回も触れましたが、賛否が分かれるのがいつまで続けるのが良いかということだと思います。生まれた直後から産休明けくらいまでは大きな意見の違いは無いと思います。産休明けがひとつの分かれ目のようです。産休が明けると、会社によっては、家庭によっては、人によっては、仕事に復帰せざるを得ない場合があるのが現状です。6割以上の女性が出産を機に仕事を辞めています。辞めたくて辞めた人もいるでしょうが、辞めざるを得なかった人もいると思います。表向きはともかく、日本にはまだ女性社員が出産することを歓迎しない会社、組織がたくさんあるということだと思います。日本を代表する一流企業の子育て支援策が一流新聞に掲載されるということは、そのような取り組みがまだ少ないからニュースになるということでしょう。日本中の企業、組織が取り組んでいれば何らニュースにはならないでしょうから。母乳を続けるべきと言い過ぎるのも、今の日本では、女性が仕事を続けることの障害になっています。仕事を選ぶか?母乳を選ぶか?ということではなくて、どちらも大事にする方法も考えるべきだと思います。しかし、方法が見つからなければ、仕事を続ける選択があっても当然でしょう。この時に母乳が全く与えられなくなるかどうかは分からない。1歳近くになっても、夜だけの哺乳なのによく母乳が出ている人もいる。出れば与えれば良いと思います。いつまで続けるか? 子どもが要求し、母親が応えられる間は続ければ良いと思う。子どもも出なくなれば要求しなくなってくる。2歳まで、3歳まで、これは分からないが。出なくなれば粉ミルクにすれば良いだけのことでしょう。だいたいは離乳食が進んでいけば母乳、粉ミルクを欲しがることも減ってくるようです。母乳、いつまで続ける?子どもとお母さんとお父さんと、何となく決めていくしかないだろう!と思っています。…

56,小麦粘土、牛乳パック

最近アレルギー事故が散発しています。
先日は1歳児が食べたことのない卵を食べてアナフィラキシーを起こしています。
離乳期には「食べたことがないものを保育園ではじめて食べる」のは危険です。

小麦アレルギーがある場合、小麦粘土も危険です。
小麦アレルギーがあるかどうかは、
小麦と接触したり、食べたりした後でしか分かりません。
すべても子どもの小麦アレルギーを常に把握することは現実には不可能です。
小麦粘土の使用はしないように徹底してください。

牛乳パックは工作に使うのはやめた方が無難です。
代わりのものを考えていきましょう。
牛乳パックに微量でも乳成分が残存していると
接触したり、舐めたり、口に入れたりしたらアレルギー症状が起きます。

その他にも食べ物だけでなく玩具などにも
アレルギーを起こしやすいものが使用されていないか注意してください。…

55.母乳と粉ミルク

母乳の続け方、やめ方はこれまでも何度も議論され右に左に
大きく振れながら今に至っています。
(続けて行く推進論は右か左かは不明ですが?)

母乳は人類が地球上に現れた時からあったと推測できます。
この当時はまだ食べ物も少なく、赤ちゃんは母乳以外で
育つことはできなかったのではないでしょうか?

ということは、赤ちゃんはいつ断乳したのか?、いつ母乳をやめたのか?
多分、結構大きくなるまで母乳を飲んでいた?
食べ物がないときは母乳!!だったのでは?
赤ちゃんは結構長く母乳を飲みながら人類は生き延びてきた、これが真実?
いつ母乳をやめるか、これが現代の問題である。

粉ミルクはWikipediaによれば1800年代に登場(日本は1917年らしい)したそうである。
それまではほぼ母乳であったであろうから、
赤ちゃんにとって母乳をいかに確保して貰うかで
生死が分かれることになっていたであろう。

乳母という人間独特の方法を編み出してからは、
協力しながら多くの子どもたちが助けられたであろう。
こういうことは人間らしさ、人間の良いところである。

母乳崇拝に近い人たちも現在いる。
彼らは愛着、免疫という面から母乳推進論にあまりにも拘りすぎているようにみえる。
母乳さえ飲んでいれば少々の栄養不足は気にしないと断じる人もいるが、さすがに極端であろう。
子どもたちは「子どもの権利条約」を持ち出すまでもなく、
生まれながらに「育つ」権利を持っているのだから、
それを「主義主張」の犠牲にするのは如何であろうか。

母乳崇拝に近い人たちの言うように母乳でありさえすれば問題が何も無いわけではない。
母乳にはある種のビタミン、ミネラルが不足しており死に至っていた
ことも分かって対策が実行されている。
現在の粉ミルクにはこのビタミン、ミネラルは配合されている。

母親がある種のウイルスに感染している場合、
ウイルスが母乳を通して赤ちゃんに感染することが
分かってきて母乳を与えないことが推奨されている。
このウイルスに感染しているかどうかは血液検査で分かるので、
妊娠中に検査することになっている。

現在まだ不明の母乳の問題が今後も明らかにされてくる可能性もある。

母乳はすべてにおいて万能であると考えるのは少し無理がある。
母乳はあくまでも一人一人のお母さん、家族の問題と考えていくのが自然であろう。

粉ミルクにもいろいろあるが、粉ミルクが一方的に勧められるのもどうであろうか。
まず、金銭的負担が大きい、特にアレルギーミルク、下痢用ミルクなど
特殊なミルクは高価である。
ドラッグストアやスーパーなども特売を利用すれば安くはなるが、…

54.原則は変わらない(3) 食事について①

私保連の海外研修でこれまで多分10人くらいがハンガリーに行っている。
その報告の中で、朝食を保育園で出していると書いているものがあった。
貧しくて食べられない子どもたちがいるからということであった。

日本ではどうするか、多分いないことはないと思う。
しかし、すべての子どもたちを対象に朝食を、
となるとこれまでの保育園のあり方を大幅にかえていかなければ
実現不可能であろうし皆が食べないといけないものではない。
最近、「朝食を食べれば自閉症にならない」かの如くの研修報告があったが逆である。
自閉症の子どもたちは朝なかなか起きられず朝食も抜いていることが多いのである。

そもそも自閉症先天的な病気と考えられている、男児が女児よりも圧倒的に多いのであるから。

当法人でこれまで行ってきた対応として、朝食を食べずに登園してきて
空腹を訴える子どもには朝食を提供してきた。
しかし、朝食を食べていなくても空腹を訴えない子には特に対応していない。
朝食がどこまで必要か? いろいろ言っている人たちがいるが検証された分けではない。
食べたい人、食べたくない人、生活様式は様々である、これを認めるべきと思う。

昼の給食はどうするか?
なんでも食べて欲しいという気持ちはよく分かる。
しかし嫌いなものは食べたくないという子どもの気持ちはもっと尊重されるべきである。
子どもたちは楽しい食事を望んでいる、
おいしい食事を望んでいる。

昨年は「保育園」で無理矢理食べさせた保育士が逮捕された。
「無理矢理食べさせることは虐待である」ということである。

どこまでが許さされるかということになるが、

「一口でも食べよう」
「これを食べないとデザートなし」
「これを食べないと遊びはなし」
「食べるまで立ってはだめ」
「食べたら~してあげよう」

これらはすべてアウトである。
このような事を言われて食べさせられておいしいはずがない。

「保育所における食育に関する指針」には期待される子どもの姿が書かれている。

1) お腹がすくリズムのもてる子ども
2) 食べたいもの、好きなものが増える子ども
3) 一緒に食べたい人がいる子ども
4) 食事づくり、準備にかかわる子ども…