50.嘔吐・下痢 水分補給

最近ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が流行している。嘔吐、下痢、発熱、腹痛、頭痛などがみられる。

 

嘔吐はひどい時は一晩に10回以上あり、朝にはぐったりしてくることもある。嘔吐は3日~4日続く時もある。発熱は10人中2~3人にみられ、2~3日くらい続き、高い時は40℃を超えることもある。頭痛は結構強く、大きな子どもたちや大人の表現を借りれば「頭が割れそう」というくらいである。下痢は特効薬があるわけではないので食事療法が大切である。適切な食事療法を怠ると延々と下痢が続くこともある。長い時は月単位になり得る。腹痛は腸が動く時に生じてくるので間欠的である。痛みが間欠的でなくなってきたら別の病気を考えるので受診することが大切である。下痢が出る前には主に下腹部(ときにヘソの周り)に結構強い痛みが生じることもある。また、嘔吐の前には「みぞおち」のあたりに我慢できないくらいの痛みが生じ、顔色も真っ青になったり、冷や汗が出たりすることもある。

食事療法で大事なのは水分補給である。目安として、体重が10kgまでの場合、体重1kg当たり100mlくらいは最低必要である。つまり、8kgであれば800ml以上、10kgであれば1,000ml以上が必要となる。15kgくらいだと1,200~1,300ml、20kgであれば1,500ml程度となる。これは最低限であり、下痢にたくさんの水分が出てしまえば、それを補う必要があるのもっと増やす。また、尿量が確保されているかどうか、こま目に注意をしていくこと水分が足りているかどうか判断できる。無色透明無味無臭な尿がいつもと同じくらいの量出ているとOKである。黄色みが強くなり異臭が出てきて、更に紅茶のような色になり尿量も減ってきたら脱水症も考えなければならない。体重計測して減っていくのは困る。

食事の内容としては、おかゆ、うどんが主になる。出来れば舌で潰せるくらいの固さのものが良い。冷たいものは良くない、腸を刺激し動きを激しくする。油もない方が良い。油は腸から吸収されるまでに時間が掛かるので、腸の動きが早くなっている時には摂取しないことである。果物では、リンゴ、バナナは大丈夫と考えている。リンゴは摺りおろしたものが良い。飲み物は、子どもたちが飲めることが大前提である。飲みにくいもの、飲めないものを勧めても、飲んでくれないことにはどうにもならない。スポーツドリンク(これも色々ある)、薄い紅茶、砂糖湯、お茶(これも色々)、経口補液製品(これも色々)など色々試してみるとうまくいくこともある。