講師:汐見稔幸先生
東京大学大学院教育学研究科教授
東京大学教育学部付属中等教育学校校長
主な著書
ほめない子育て 自分が大好きといえる子に 栄光教育研究所 1997年
子育て 愛があればだいじょうぶ 講談社 1998年
親がキレない子育て サンマーク出版 2002年
世界に学ぼう!子育て支援 フレーベル館 2003年
おーい父親 子育て編(パートⅠ) 大月書店 2003年
おーい父親 父親論、男性論(パートⅡ) 大月書店 2003年
汐見流育児法 心も身体もほんとうにかしこい子に育てる 主婦の友社 2004年
(※著書にあるリンク先はそれぞれamazon.co.jpの該当ページです。)
~講演概要~
5月28日(土)、東京大学大学院教育研究科教授 汐見稔幸先生をお迎えして第6回の講演会を終えました。参加者約220人、ベアーズのホールに入りきれないほどの参加者でした。
“子育てで大事なことは~自分が大好きといえる子に~”をテーマにお話していただきました。お話の内容を少しだけお知らせします。子育てに大きく3つのポ イントをかがけてのお話。ユーモアを交え事例をあげながらわかりやすくお話して下さり、2時間30分があっという間でした。以下は園だより用に講演会のポイントをまとめたものです。
1つ目のポイント「子育ては親育ちでもある」について・・・
子育てをしていくことは同時に親が自分自身を育てているということ。赤ちゃんを産めばすぐ親になるというのではなく、親として子どもを育てているプロセ スの中で、少しずつ自分自身がうつわを大きくしていくのである。子どもが育つというのが半分、実は育てている親が育つのが半分なのである。赤ちゃんを“抱 く”ということひとつとっても、はじめは抱っこすることが怖い。それが半年ぐらい経つと“抱く”という行為を繰り返す中で、赤ちゃんの表情をみて、そのし ぐさで全部を感じとって「あぁこんなやり方はまずい、どういう言葉をかけて、どういう姿勢の時、気持ちがいいのか」がわかってくる。ここに親の育ちがあ る。子どもを育てるということは孤立した中て一人では育てられない。気軽に本音で話し合える人(夫であったり、友人であったり)を周りに作ることが必要で ある。そうすることによって子育てが楽になる。・・・・・というお話。この子を立派に育てるんだ!と頑張り過ぎず、“自分育て”と思って家庭と保育園と 一緒に子育てを楽しみましょう。
子育て2つ目のポイントについて・・・
2つ目のポイントは「子どもを善くみる」ということ。
子どもを善くみる能力を親自身が育てる。
見抜く能力を身につけることによって親として成長する。
日本人のお母さんが子どもに対して一番よく使う言葉は・・・・「早くしなさい!」
しかし、この言葉を使うことによって、早く出来るようになった例は一例もない。「早くしなさい」 という言葉の裏返しは、「おまえはグズな子」「おまえはダメな子」。「早くしなさい」という言葉を言い続けることによって「おまえはダメな子」というメッセージを送り続けているのと同じである。 子どもにとって、まわりの人の反応が“自分はどういう人間なのか”とみつめる鏡である。ならば、見守られている、愛されているというメッセージを送ることが大切である。 持って生まれた性格は簡単には変わらない。性格そのものを否定するような見方をせず、肯定的に善くみて、「いつも見守っているよ」「愛しているよ」というメッセージを送っていきましょう。
子育て3つ目のポイントについて・・・
3つ目のポイントは「体験することで感性を育てよう」ということ。 子どもを育てていくとき、あなたは、「頭のよい子」「こころが優しい子」「身体の丈夫な子」
どんな子どもを育てたいですか?という質問ではじまった3つめのポイント。
知識だけをどんどん詰め込めばたしかに頭のよい?子が育ちます。が、それは言葉をたくさん知っていて頭が良さそうに見えるだけ。たとえば、「森」を言葉で 知り、テレビや本の中で森を見ても本当に森を知ったことにならない。実際に森に行き、体で森を体験することで、はじめて「森」という言葉がどんなものを知 ることができる。
「心を育てる」のも同じ、心それだけを取り出して豊かにすることは出来ない。心を豊かにする体験をすることによって育つものである。たとえば、親切にして喜ばれたり親切にされて嬉しかったり・・・・。
本当に心豊かで賢い子に育てようと思うなら、いろいろな実体験をさせよう。
豊かな体験をすることによって、頭も、心も、身体も育つ。感性豊かに育むことができるのである。・・・・
汐見先生の講演会の様子は今回で終わりです。
次回のテーマは?お楽しみに!!
職員の感想文集です。
NO.1
「 講演の中で子育ての秘訣を聞き、子どもを善く見る能力を身に付けると言われたことがとても心に残りました。すぐにできそうですが、子どものいけないところや気になることばかりが目につき、実際、善い所というのは意識してみて、言葉にしてみないとなかなかできないことだと思います。日々意識して一人ひとりの善いところを見つけ、声をかけるよう心掛けてはいますが、まだまだ一人ひとりの子ども自身を見切れていないと反省する毎日です。禁示や命令口調ではなく、子どもが自信を持って行動できるような言葉掛けをしなければと改めて感じました。
もうひとつは体を育てる、いろいろな体験をすることが大切と言うのにとても共感がもてました。自分でいろいろなことを体験し、学び、同時に心も育って欲しいと思います。また、安心してできるよう、遠くで見守ったり時にはサポートしたり環境を設定したりし、成長していって欲しいなと感じました。
最後に、子育ては親育ちと言われ、そうだなぁと改めて感じましたが、母親が一人で抱え込まないよう、保育者も支援していかなければならないと思いました。また、保護者が安心して悩みを相談できる保育者になりたいと感じました。
とてもわかりやすい話しで聞きやすく、とても良かったです。」
NO.2
「 家族は人間が人間であることを学ぶ最初の場であり、原則として両親が中心になって保育を行う場であり、保育の基盤は家族関係が温かく、心の絆で固く結ばれて安定した家庭である。
人間の子どもは発達していく過程で親から受ける影響が大きい。自分がどう育てられて来たかが今度、自分の子育てに絶対影響する。汐見先生のお話は共感しました。
私たち夫婦もやはり夫や私の両親たちが見本になってると思います。テレビや雑誌、講演などですばらしい話を今も昔も聞いて参考になりますが、実際は育った環境がかなり影響する。私自身、三人娘を育てましたが、母と同じような育て方をしたことが多々あり、影響ありました。でも核家族でしたから、夫の協力があったこそ頑張れたと思います。ずっと変わらないやさしい夫に感謝しています。
子育てには遊びが重要性で特に乳児の遊びは体力、思考力、想像力、手先の巧みさや創造性、言語や生活のあり方を学んでいく。(運動能力を高め、身体を丈夫にする)身体を使うことを重視したほうが良い。今後、孫育てに笑顔で関わっていくときも保育士として幼い子どもたちと一緒に保育に関わるときも日々成長し(自分自身)感動の毎日を過ごしたいです。」
NO.3
「講演を実際に聴講する前に、汐見先生の本を読んでいたので、どんな話が聞くことができるか、また、汐見先生本人から直に聴けることが楽しみでした。
実際お話を聞き、体験や例えを交えてのものだったのでとても聴きやすく、あっという間の2時間半でした。
『子どもを善く見る』と言うことを知り、”そうだよなぁー”と思いました。否定的に見るのでなく、そうでない見方をすることは、簡単なようで難しいことですが、いろいろな職員で、”この子はこんなところがあるよね”と、いろいろな善い所を出し合い、関わっていくと、その子にとっても、そうやって話をすることでコミュニケーションをとっている職員にとっても良いことではないかなぁと思います。
「早くしなさい」と言う日本の母親で一番多い口癖についても納得させられました。確かに、周りで「早くしなさい!」という言葉をよく聞くし、自分自身も使っていたように思います。”周りの反応が自分の評価になり、自信のない子になる。”と聴き、驚きました。私も小さいころ、そういう風に少し感じていたことがあったように思います。「早くしなさい」という命令調のものだけでなく、その子にとってマイナスとなる声掛けはしないようにしていきたいと思いました。その子一人ひとりの善いところを探していきたいです。
いろいろな事を体験でき、そこからいろいろな事を感じられるように、”自分は自分でいいじゃん!”と胸を張って言える子になるように…。
自分自身もいろいろな体験をしたり、いろいろな人と出会ったりし、向上しながら子どもたちと関わって生きたいと改めて感じました。」
NO.4
「 私は初めてお話を聴かせていただきました。どのお話もなるほどと感じさせられる内容でした。中でも私の心が一番「ギュッ」と引かれたお話は「2」子どもを善く見る能力を身につけるという所でのお話でした。子どもがしようとしていることを危ないと止めに入っても入らなくても、そんな視線を送っている。私は”ハッ”とさせられました。私自身なるべく止めには行かず見守ろうと思ってますが、心の中では”あっあっ”という思いで見ています。口や行動に出さなくても、この思いが目でしっかりと子どもに伝わっていたのでは?と反省させられました。
* 子どもの性格を変えることはできない。
* 叱る時、性格を叱ってはいけない。
* 子どもの性格、特徴などを否定してはいけない。
どれをとっても改めて自分に置き換えて考えると嫌なことです。大人の私だって嫌だと思うのに、子どもだったらと思うと…。大人のペースに合わせようとするための言動、また、何気ない一言が子どもにとって大きく左右するものだということを再認識させられました。
今回のお話をこれからの日々の保育に活かし、また、これからするであろう自分の子育てにも役立てていきたいと思いました。」
NO.5
「 今回、汐見先生の講演会に参加し、話をしていただいたことにより、私自身の日々を振り返り、言葉掛けや援助の反省または新たな気づきになる、とてもよい機会となりました。
汐見先生のお話の中で最も心に残った言葉が、”いいかげんがよい加減”というものでした。その言葉を聴いて、すぐにはピンと来ませんでしたが、講演会を全体的に振り返ってみて、保育は型にはまって行うものではなく、一人ひとりの子どもに合わせて、臨機応変に行っていくものである。ということが”いい加減”という言葉に換言されてあるのかな、と自分なりに考えました。
その場面ごとに対応の仕方、言葉掛けは変わっていくとは思いますが、基本は「見守ることが大切である」ということを学び、子ども自身が選択し、意欲を持っていけるような環境を設定し、自ら”やってみようかな”と思えるような言葉掛けを工夫していきたいと思います。”見守る”といっても保育士としての基本である、環境構成であるとか、言葉掛けは不可欠であるということも感じました。
また、講演の中で、子育て・保育に大切であるのは”身体を豊かにすること”であることを学びました。身体で触れて、見て、感じることによって、言葉の意味だとか、人の心を知ることになり、感受性を育むことにつながっていくのだということを改めて勉強させていただきました。
子どもたちが直接目で見て、身体で触れた物・出来事は必ず心に響いていくのだと思います。一人ひとりの日々の中で、大きな体験小さな体験ともに、保育士である私たちは十分に受容し、言葉で返していくことがいかに大切であるかということを学び、もし保育で躓いたときには今回汐見先生のお話で聞かせていただいた”保育の原点”を振り返り、私自身も日々反省しながら過ごして生きたいと思いました。
今回の講演会のサブテーマでもある”自分が好きと言える子に”その子自身がなるためには、またはそう私が感じれるためには今の私が保育者として妥協することなく一人ひとりと向き合ってその子を知ることが大切だと感じます。このベアーズで働かせてもらってまだほんの少しですが、日々勉強しながら毎日ひとりでも多くの子どもたちとかかわりを持ち、今日聴いた話を活かした保育ができればいいなと思います。」
NO.6
「子どもを善く見る!改めて大切と感じた。善く見よう。と思っていてもいつもついつい「だめ!」が多くなってしまう。自分が好きということは、自分に自信 がもてるようにしていかなくてはいけない。一人ひとりを認め、子どもの行動全てに意味があることを考えていきたい。
また、頭・心・体の3つ。全てを育てていけないといけないが、その中でも体験を一番に考え、これから過ごしていきたい。自分自身のした体験/経験をできる だけ多く子どもたちにも伝えていき、たくさんのことを体で感じていけるようにしたい。子どもたちと一緒に大きくなっていけるようにしたい。」
NO.7
「 とてもわかりやすく、おもしろい講演でした。
私はまだ結婚していませんが、今回の講演を聞いて、速く結婚して、子育てしたいな~と思うようになりました。子育てがとても楽しみです。私の周りにも結婚して子どもを生む友達が増えてきたので、ぜひ子育ての3つのポイントを教えてあげたいです。
3つのポイントの中でも「子どもを育てることは親を育てる」というのが、今の私にあてはまっていると思いました。保育士3年目ですが、最初は赤ちゃんを 抱くというのがとても怖かったです。でも何度も抱いていくうちに恐怖感はなくなり、赤ちゃんと接することが楽しくなりました。抱っこは体で行うコミュニ ケーション。とても大事なんだなぁと感じました。子どもと毎日過ごすとともに、私もどんどん成長していきたいです。
2つ目のポイント「子どもをよく見る能力をつける」の話の中で「早くしなさい」は日本人の口癖…という話を聴き、「あ~、私もよく言っているな…」と反省しました。振り返ると、私も子どものころよく親に「早くしなさい」と言われていましたが(今でもよく言われます…(笑い))「早くって言われても…」と 嫌な気分でした。でも、自分が言われて嫌だったことを、子どもたちに言っていたんだな…と、今回の講演で知らされました。「早くしなさい」ではなく、もっ といろんな言葉がけをしていこうと思います。
もっともっと子どもたちのいいところをたくさん見つけ、自然の中で子どもたちと一緒にたくさん遊び、子どもたちとともに成長していきたいと思いました。」
NO.8
「 汐見稔幸先生の講演を聞かせていただいて、現に子育て真っ最中である私は「なるほど~」と思い、頷く点が多々あり、今一度自分の子育て・保育について考えさせられるよい機会になりました。
確かに子どもを産むだけでは親にはなれず、日々四苦八苦しながら子どもとともに成長させられているような気がします。また、自分が育てられてきたことが そのまま子育てに出るというのもそのとおりだと思います。私の親からも自分の小さいときの育児体験などを聞き、改めて親に感謝する機会も増え、私もまた同 じように少しでも楽しかった思い出が記憶に残ってくれたらなぁと思う反面、子育ての難しさに日々悩んでしまいます。「早くして!早くしなさい!」もそのひ とつ。ついつい出てしまう口癖になっています。子どもの性格までもは否定しないにしても、親の私でさえ「早くしなさい!」と言われ決して気分がよいもので はありません。その子なりの良さを見つけ、認め、それを最大限に伸ばしてあげることが親の役目であり、責任。そのためにも、子どもの体を豊かにし、心・頭 とそれぞれが育っていけるような環境作りをしながら、子育てプラス自分の親育ても含め、「楽しかった」と後で振り返れるような子育てをしていきたいと思い ました。今しかできない子育て頑張ります。ありがとうございました。」
NO.9
「 汐見先生の話を聴いていて、事例をあげて話して下さっていたのでとても解りやすく、実際の保育とも照らし合わせながら学ぶことができた。なので日ごろ の子どもとの関わり方で、自信がもてた点や反省する点が明確になったのでよかった。また、現代の子どもたちは保護者と過ごす時間よりも、保育園で過ごす時 間の方が長いので、保育士の関わりがとても大きく重要なことだと改めて感じた。
「(1)子育ては親育て…」では、自分がどう育てられてきたかを認めることが大切だと分かった。私の両親は厳しく、特にしつけについてうるさかったのを覚 えている。これが私のトラウマだと思う。このことは世間話として、軽い雰囲気でだが聞いてもらったことが何度もあるので、私は今の自分を受け入れられてい るんだと思う。自分も辛い思いをしたことがある分、他の人の気持ちも分かってあげられると思うので、保護者の方々に何かトラウマがあるなら、それを吐き出 してもらいたいと思った。しかしそれまでには信頼関係が必要なので、保護者の方々に認めてもらえるように励んでいきたいと思う。
「(2)子どもを善く見る」では、子どもの「ダメなところ」として見るのではなく、逆に「善い所」として捉える大切が分かった。確かに、「早くしなさ い」と言う言葉はよく耳にする。しかしこの言葉の中には、子どもの自信をなくすメッセージ(「お前は駄目な子だ」「自分のことが嫌いなんだ」)が含まれて いることに残念ながら気づかなかった。このことを知り、絶対に使いたくない言葉だと思った。命令、禁止、指示語も同じである。けれど、汐見先生の話を聴い てから意識していても、そのような言葉を使ってしまったことがあった。いってからすぐにドキッとし、反省した。子どもたちそれぞれには、それぞれの善い所 があるので、それを認め、よく見ていこうと改めて思った。
「(3)頭・心・体のどこを育てるか??」では、私はやはり”心”を最も育てるべきだと最初に思っていた。頭がよかったり体が丈夫なだけではなく、人間と して優しい心・豊かな心を持った子どもに育って欲しいと思うからだ。「今日の夕焼けはきれいだなぁ」など、周囲の変化に気づき、小さな事にでも感動したり ワクワクしたり、悲しんだり喜んだり…と、感受性が豊かな人間に育って欲しいとも願いたい。
しかし、その原点には体験をすることが大切であることを改めて分かった。以前から様々なものに触れ、体験していくことは大切にしたいと考えていたので、こ れからもたくさんの事を感じられるように、おおらかな目で見守り、援助していきたいと思った。また、心が優しい子も、実際に優しさを体験してみなければ分 からないことなので、自らが見本となるように努め、伝えていきたいと思った。
今回、子どもを育てると言うことは、保育者自身も育つことの大切さを学ぶことができたので、自分を客観的に見つめ直し、反省しながら子どもと関わっていこうと思う。」
NO.10
「 園で借りた汐見先生が書かれた本やエデュカーレを読んで、講演会の日を心待ちしていた。実際に講演を聞いて見て、話も事例などを出しながらとても解り やすく楽しく話してくださり、そして先生の温かさ、大きさを感じ、いつまでも聴いていたくなるようなお話であった。
日々の保育を思い返し、一つ一つ頷きながら聴くことができたが、中でも印象に残ったのは子育ての中ではどんな時でも頭・心・体を育てているがその中でも体 を豊かに育てることを一番大事にしたいと言われたことである。いろいろな体験をし、体で感じていくことで、体も心も頭も成長していく。感性が育っていくと いわれた。私も保育の中で子どもたちがいろいろな体験ができるように援助していきたいと思った。そして今回聴いたお話を頭に置き、保育に生かしていけたら と思う。とてもよい講演を聞かせていただき嬉しい気持ちでいっぱいです。」
NO.11
「今回の講演会では、子育てで大事なことを大きく3つに分けてお話しされました。
まず1つ、子育ては親育て打ということ。私も実際に子どもを育てていく中、まったく何も知らない子育てを、子どもの日々の成長とともに私自身も一緒に育っ ていったと実感しました。でも先生も言われたように、私一人だけでは決して子育てなどできなかったでしょう。私の周りの配偶者、親、友人などがいてくれた からこそ、ここまで来れたのだと改めて感じました。何でも話せる人がそばにいたからこそ、無事にここまで子育てができ、これからもできるのだと思います。 だからこそ、これから子育てをしていく人たちにとって不安な部分が多い中、私たち保育者の役割も大切になっていくのだと思います。
2つ目の子どもを善く見る努力をするということは、正直言って我が子に対しては、難しいことなのですが、先生のお話の中で日本人の親が一番多く子どもに対 して言う言葉「早くしなさい」は実際に私自身も日常茶飯事のように使っていたので、反省するとともに、子どもに対して自信を奪う言葉は使わないようにして いきたいです。どの人間にも個性があり、いいところがあるということは非常に重要な意味があると思いました。自信をつけてあげるということの大切さが分か りました。
そして最後、体を豊かにしてあげようと言う話は、私にとってはとても意味深い話しでした。小さいときから様々な体験・経験は、人間にとってとても大切なこ とだと分かったのですが、私が育った時代は普通に生活していればそういった経験は当たり前のようにできた事です。しかし、今の時代はなかなかできません。 生活環境の変化などで、難しいことです。だから親のほうが積極的に子どもに対して関わっていくことが大切だと心から感じました。これからの時代、ますます 子育てをしていくことは難しくなってきます。だからこそ、私たち保育者の役割もますます大切になっていくのだと感じることができました。」
NO.12
「・ 子育ては親育てでもある。
・ 子どもを善く見る能力を育てる。
・ 頭か心か体か どれを一番に重視するか。
この3点を柱に解りやすく話していただきましたが、先生からの「あなたにとっての母親とは?」の問いかけが深く心に残り、考えさせられました。
私にとっての母親とは、間違いなくこの世の中の何よりも安心できる存在であり、また居心地のよい場所であったように思います。ただ、その意識はきっと漠 然としたものだったに違いなく、それが結婚し家庭に入り、やがて子どもをもうけその頃の母と多分同じであろう経験や、その時々のおそらく似たような感情を 経ながら私の中での漠然とした母への意識に我が子へ向けたと同じ無償の愛を重ね合わせ、今はっきりと認識し、感謝の気持ちとなって存在しています。
親が子を思うとき、また、子が親を思うとき、親であり、子であり、この二つの通過点を満たして始めて本当の意味での感謝の気持ちとなって現れるのかもしれません。
では何故本来ならば愛を受けまた伝え繋いで行く当たり前の親子関係が親が子を子が親を近今、顔を背けたくなるような悲しい事件へと発展し、報道されること が多い世の中になってしまったのでしょうか。伝えていくべき大人たちの中に心の余裕がなくなってしまったのかも知れません。核家族化がますます進み、それ を補う周囲もいないまま、忙しさの中、心の余裕の部分を持つことさえ忘れ時間に追われ過ごす毎日。たとえば植木鉢の花ひとつにも「お花=きれい」このつな がりが何であるのか。母の五感を十分に伝えられてきた子供は、そこへ感じるものはたくさんあると思います.「きれいなお花が咲いてるよ」「どんな匂いがす るのかな?」「近づいて触ってみようか」経験から生まれるいくつもの問いかけがまた、子どもへの想像力へと発展させ、体験として体に刻み込まれていくこと だと思います。忙しい日常の中で余裕がなくこれを十分伝えていくことができない大人も決して少なくないのかもしれません。子どもが温かい関係の中で本当に 大事にされていると感じ取れば豊かな心が養われていくと思います。
私たち保育士は、保護者との信頼関係を築き、保護者とともに子どもの心を育てていく手助けができればと願っています。」
NO.13
「 子育てして自分がどう育てられたか出る。そして影響するということと、自分の育てられたように育てる。そしてその反面育て直しをしているというお話に強く感動し、その通りだと実感しました。
実際、長女が社会に出て、対面したいろいろなことに対する考え、処理法、その後の自分について話すときにまったく自分(母)と同じ考えを持っていることに 驚き、今更ながら深い反省の念を覚え、これから意見を求められたら少しはまともなアドバイスができるような気がした。」
NO.14
「 私は、汐見先生の本を事前に読ませていただいて、保育者としてはもちろん、親としてもこの講演会に参加させていただくことを楽しみにしていました。講 演会の内容も「子育ては親育て」「子どものことを善く見てやろう」「子育てに特に大切なのは体を育てること」など3つのポイントに分かれていて、それぞれ が解りやすく、楽しく聞かせていただきました。
その中でも特に関心を持ったのは「子育ては親育て」という1つ目のポイントです。確かに私も子どもに対して「早くしなさい」を毎日のように繰り返している ような気がします。命令、支持、禁止を言い続けても子どもの性格は変わらない。どの人間にも性格があり、それに合った対応をする。子どもにとっては当たり 前のことなのになかなかできていないなと反省を繰り返し、また親も成長していくんだなと思いました。
この演題にもあるように、自分が好きといえる子になって欲しいと思うのは保育者、そして親の願いでもあり、責任でもあると、この講演会に参加させていただいて改めてそう思いました。ありがとうございました。」
NO.15
「なるほど、ほんとだ。と共感し、楽しく聴くことができました。
子育ては子どもを育てることなんだけど、自分の育て直しでもある。子育てすることにより、子どもが育つが半分、親が育つが半分、孤立した中では育てられな い。夫・友人らの仲間を得て、何でも喋れる関係をつくっていると辛いことがあっても「お前大変だったなぁー」と聴いてもらうことにより修正できる。幼い子 どもの過剰評価はお母さん(周りの人)の感情や気持ちに敏感になる。子どもは善い評価をもらおうと行動し、敏感になり、神経質になっていく。自主性や自信 をなくしていく。豊かに育てるには頭・心・体を育てなくてはいけない。一番に体を鍛えると心豊かに頭もよくなる。体を鍛えるにはいろんな体験をいっぱいさ せることが大切。体験を伴わない知的教育はできない。などなど、私はどう育てられただろうか。私はどう自分の子どもを育てたか、今まで出会った子どもにど う接してきたのか、たくさんの思いを感じ、それだけの力を持っていないといけないことを感じました。ありがとうございました。」
NO.16
「子育ては3つに分けられる。
① 子育ては親(自分)を育てる
② 子どもの能力を善く見る
③ 体を豊かにする
以上のことをしっかり身に付けて子育てをしていけばすばらしい子どもに育つと思う。分かっていてもつい親の感情が先に出てしまって上手くいかないように 思う(親にゆとりがない)。これから子育てをするのだったらこの話を参考に善い子育てができると思われる。本当によいお話でした。」
NO.17
「今回「子育てで大事なこと」と言う演題でお話を聴き、私は実際「子育て」の経験はないのですが、共感することが多々ありました。「子育て」と言うと親 の愛情もそうですが、「しつけ」とか「自分の理想の子ども」というイメージを持っていました。しかし汐見先生の言う「子育て」というのは、「子育て」= 「親育て」で、親自身も一緒に成長していくことである。自分が親にやってもらった愛し方・育て方でよかったことは自分の子どもにもやってあげる。悪かった ことはそれを本に改善して子どもにやってあげる。しかし現代の親はその愛し方をも分からなくなっている人がいる。生まれて何週間でも子どもには感情があ る。だから抱いてあげたりあやしてあげたりするだけでも親とこのコミュニケーションが取れるのである。言葉はなくても体での深い関わりがしっかりととれて いるのです。そうしているうちに、自然と子どもの仕草が読み取ることができ、抱き方ひとつでも少し離してみたり、近づけたり、向きを変えて見たり…とコ ミュニケーションが取れるのです。
子どもが成長していくとどうじに、よいこと・悪いことというのも教えていかなければならない。まだ「悪いこと、やってはいけないこと」というのも分から ないのが子どもなので、それを親がどう注意していくかというのが大事である。子どもに解りやすく注意し、そこでその子自身を叱ったり、「あなたは駄目な子 ね」という言葉をかけると、その子どもは自信をなくしてしまう。自信のない子に育ってしまうのです。親は子どもをおおらかな気持ちで見てあげることが大切 である。「子どもを善く見る」事ができるようになればそれは親も育っている証拠だそうです。親の立場からすると、やはり「頭のよい子(賢い子)」「心の優 しい子」「体の丈夫な子」と様々な願望があると思う。幼い頃から様々な教育を受けさせて、将来は学者にさせよう!と思って育てても、それはそのときの子ど もの丸暗記(記憶)となるだけで、実際は成長しながら経験していくことで意味(応用)を理解していくのである。それと同様に、優しい心をもつには優しくさ れたり、優しくする場面を見て感じ取ることを体験することが大事である。心の育つ体験の豊かさが必要なのです。この頭や心を育てるためには体を鍛えるのが 一番大事だそうで、お風呂で水をバシャーッとかけてあげたりして自律神経を育て五感を体全体で瞬間的に感じ取る。そういう体験や経験を通すことで感受性の 豊かさが生まれてくるそうです。子どもは嬉しいこと、感動したことは体がしっかりと覚えていると汐見先生が言っておられ、子どもたちにもそういう経験をさ せてあげていけたらいいなと思いました。自分の子どもだけではなく、園や地域の子どもたちに、大人がしっかりと関わることが大切だと実感させられまし た。」
NO.18
「 子育ては「親育て」「子どもを善く見る能力を育てる」「頭・心・体を育てる」この3つがとても大切だということがよく分かりました。
否定的に子どもをみずに、その子の善い所を見つけ出し、周りの大人がその子に分からせてあげるようにする。心が感動する体験をできるようにする。感性豊かに育てることなど、今回の講演の内容を忘れずにこれからの保育に活かしていきたいと思いました。」
NO.19
「 子育てで大事なことの3つの点(自分(親)を育て直すこと、子どもを善く見る、体を豊かに育てる)を聞き、本当にそうだな。と改めて感じた。子どもは 敏感で親・保育者の感情(ネガティブな面)をすぐに感じ取ってしまうということにも大きく頷いた。1日1日子どもの姿を見て、昨日はとても明るく声もよく 聞こえていた子が次の日はお友だちにあたったり怒鳴ったりするようになると、登降園児の保護者の姿も昨日とは違ったりす事がある。保護者だけでなく、保育 者も含め、思いを話せる場、聞いてもらえる場、相談できる場、発散できる場が必要なんだと思った。大人が不安定なために子どもも不安定な思いになってしま うのは子どもがかわいそう。しかし、大人を攻めるのではなく、何でも言い合える関係の人をたくさん作れる場というものが大切。大人が嬉しい楽しいなどの思 いをたくさん感じられればまたそれは自然と子どもにも伝わっていくものだと思う。
自分自身も見直してみなければと思った。」
NO.20
「 汐見先生のお話になった ①子育てとは ②子どもを善く見る能力を育てる ③頭・体・心を育てる ということ、どの点においてもとても興味深かった。
①は、抱くことによってコミュニケーションとなり、子どもは抱かれ上手になるということ、親自身の育った環境が影響するということ、親の精神状態を子どもは敏感に察知するということなど、納得しながら改めて考えさせられた。
②は、子どもをゆっくり見ること、神経質にならないこと、子どもの性格は変えることができないということなど、子どもの性格の偏りを肯定的に善く見るということを学び、普段の保育では自分はどのように子どもに接しているのかということを強く感じた。
③は、実際の体験に基づく、体を豊かに育てるということ、感性を豊かに育むということであった。やはり実際に体験してみるということがどれだけ子どもの心を育てるかなのだと聞き、共感した。
①~③、どれをとって見ても、私たちの仕事に密接に関わるものであって、この講演により、日ごろの保育について改めて考えるよい機会となった。また、汐 見先生のお話はとても解りやすく、興味深いものであったので、これから本をゆっくり読んで今後の参考にしたいと考える。」
NO.21
「 自分の子育て時代を思い出しながら聞かせていただきました。「あぁ、そうか」と頷く話しがたくさんあり、25年前に戻ってやり直したい気持ちになりま した。あらかじめ本を読ませていただいたことと、子育ての経験があるということで解りやすく、納得するお話しでしたが。仕事と子育てに一生懸命の今の若い 保護者にどれだけ伝えていけるかが課題だと思います。
子育ては「自分がどう育てられたか」が出てくると聞き、驚きました。性格を変えることはできないが、角度を変えて見ることにより善い面が見つかると聞 き、安心しました。私自身、自分の善いところを見つけ自分を好きになれるよう努力して、子どもたちを善く見られる保育士になりたいと思います。
今回、汐見先生の講演を聞く機会があり、5歳児と1歳児の子育て真只中の私にとって、そして保育士としての私にとって大変よいお話しが聞けてよかったと 思います。そのお話しの中で、命令・禁止・指示状の言葉を使って思い切り感情をぶつけて我が子に接している自分があることに改めて気づかされました。保育 士としての私なら同じような場面で冷静に対応ができることでも親としての私になると時としてそれができなく、いろいろな場面で反省させられることがあり、 子どもたちにとって悪い親だということを思い知らされる時間でした。
多分、子どもに「お母さんのイメージは?」と聞くと「いつも怒ってばっかり」といわれるほど、自分自身子どもたちをよく叱っているように思います。言葉 一つにとっても「早くしなさい!」という言葉は口癖のようになっているほど頻繁に使っている言葉ですが、そのことばを発する前にもっと子どもたちを信じ、 子どもたちが自分で選んで行動することをあとから見守ってあげられる心のゆとりを持たなくてはならないと、今回の講演を聴いて改めて思いました。今後は子 どもたちとともによい親として、保育士として成長していけるよう、子どもが自分で大好きって言える子に育ってくれるように、私自身もっとゆとりを持って楽 しい子育て、保育を心がけていきたいと思います。」
NO.22
「 今回の講演会で一番心に残ったことは、「子どもを善く観る」という言葉です。今まで、園・家庭でと子どもたちと過ごしてきましたが、果たして子どもを 善く観てきたのだろうかというと、答えはNOです。特に我が子の子育てはほとんど時間との闘いの余裕のない子育てでした。「何で?どうして?早く!」が口 癖となって発してはいけないと思いながら、「現実はこうよ」と勝手に決め付けていたのかもしれません。時間がないのではなく、考え方を変えれば違う方向か ら見ればよかったことに気づき、聴講して2週間過ぎようとしていますが、我が子を肯定して見ることを意識したら、不思議と楽になったような気がします。 が、そう思えたのは1週間ぐらいで、また、ダメ親になって、「どうして?早く!」と口走っています。なかなか親育ちできないのが現状です。でも今までとは 違って、立ち止まり、考えるようになったことは聴講して得た親としての少しの進歩でしょうか?
子どもが「自分はダメだ」「自分が嫌い」と思うほど悲しいものはありません。それが周りの大人・環境がそう思わせていて、自尊感情を低くしていることを 改めて知り、子どもの著しい成長に遅れないよう芽を摘んでしまわないよう、アンテナを張って親育ちに励みたいです。」