43.病児保育施設の利用について

子どもたちは、生まれて来たときには、臍帯を通して、お母さんが持っている免疫グロブリンをもらい受けているので、ある程度まわりの細菌やウイルスなどの病原体から身を守ることが出来ます。しかし、このもらった免疫は長続きせず、徐々に減っていき、生後6か月くらいでほぼなくなります。ほぼなくなった免疫はお母さんの年令になればお母さんと同じくらいに追いつきます。つまり、6か月くらいからスタートして、たくさんの病原体に出会って免疫を身につけて「強く」なっていくのです。

人間社会には、200~300種類くらいの病原体がいると思います。これらのすべてに出会うわけではありませんが、徐々に出会ううちに、「病原体」によって引き起こされる「病気」に滅多なことでは罹らなくなります。しかし、子どもたちは「社会」と接し始めた当初は、出会う「病原体」はほとんどが初対面です。当然免疫はありませんから程度の差はありますが「病気」になってしまいます。保育園、幼稚園、学校など集団生活の場は皆で「病原体」を持ち寄って交換しているような状況になっていますから、初対面の「病原体」も多く集まってきます。ですから、集団生活を始めたばかりの頃は次々と「病気」になります。肝心なことは、「病気」にならないように努めることも大切ですが、「病気」がひどくならないように看病することです。当然病院に行って診断し、治療することも大切です。

集団生活に入ってから3か月で10回、1年~1年半で30回くらいは「病原体」による「病気」になっているように思います。しかし、この時期を乗り切ると滅多にひどくはならず、病院に行くことも激減します。
病児保育施設は、図に示したように、緑の状態の子どもたちを対象に受け入れています。つまり、

  1. 健康なお子さんは当然、保育園や幼稚園に。
  2. 少し調子が悪そうでも良く食べ、機嫌も良く、よく眠り、よく笑い、元気なお子さんは保育園や幼稚園に。 病気の回復期でも同じように考えて対応可能です。子どもたちの急性の「病気」の大半は「病中」→→「回復期」→→「回復」という区別は付け難く、「病中」→→→→「回復」となっています。
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  3. 食欲がなく、機嫌も悪く、よく泣いて、元気がない、お子さんは看病が必要です。いつもの食事を「さあどうぞ」と差し出しても食べてはくれません、いつもは大喜びの「お菓子」でもそっぽを向いたりします、こうなったときが「看病」する人の腕の見せ所です。看病が良ければたいていの病気は数日以内には治っていきます。
  4. 中になかなか直らず、あるいは重い「病気」で外来で点滴が必要となったり、詳しい検査が必要であったり、入院が必要になったりします。

ここで述べた③の子どもたちが病児保育施設が利用できます。
「病気」の種類は特に制限はありませんが、④の段階になっているお子さんは利用が困難です。また、利用前の診断で③となっていても、急変して④になり、救急車で病院に運ぶこともありますので、利用される方も事前に了解をお願いします。

病児保育施設は看護師が中心になり注意深い観察、看病を行います。経過中に変化が見られたときは、すぐに医師が診察し、診断し対応します。この様なときの連絡先は常にはっきりしておいてください。