保育園、幼稚園の卒園式に出席していつも思うことがあります。卒園までの日々を振り返って感傷的になっている保護者や職員など大人の様子とけろっとしている子どもたちの表情の落差です。卒園式で歌われる定番の歌の歌詞も過ぎし日を振り返って懐かしむものが多くありますが、懐かしんでいるのは大人でしょうか、子どもたちでしょうか。私の経験上、幼児が昔を振り返って懐かしむ姿を見たことがありません。この時期の子どもたちはひたすら前(未来)を向いて生きています。
児童精神科医の服部祥子先生の「子どもが育つみちすじ」という本の中に次のような一節があります。「子どもの時間感覚は面白い。五歳の孫娘の年齢だと圧倒的に未来が重要だった。しょっちゅう「あした○○する?」と聞いた。・・・中略・・一方、未来に比べ彼女は過去をあまり見なかった。どんなに楽しんだとしてもきのうのことは語らない。健康な幼子は後ろを振り向かず、ひたすら今とあすを生きているのが自然のことなのだろう。」
子どもと大人の時間感覚の違いを理解し、子どもが楽しく前を向き続けることができるように手伝うことが必要ではないでしょうか。