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1.育児あれこれ

22.日本脳炎

日本脳炎は日本脳炎ウイルスに感染することによっておこる。
直接的には、コガタアカイエカ(ほぼ日本中に生息、シマ蚊ではない)から人へ 感染して発症する。コガタアカイエカは日本脳炎ウイルスが感染しているブタ(家畜)を刺して日本脳ウイルスを持ってくる。厚生労働省の調査では、国内のブタへの日本脳炎ウイルスの感染は毎年認められており、ヒトへの感染の機会がなくなったとはまだ言えないようである。ヒトでは、感染しても発症するのは100人から1,000人に一人くらいといわれ、大多数は症状がでない不顕性感染である。

感染すると一定の潜伏期(10日くらい)を経て、数日間の発熱(38~40℃あるいはそれ以上)、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈、腹痛、下痢などの症状が出てくる。
その後髄膜脳炎型、脊髄炎などの症状が出てくる。
項部硬直、光線過敏、種々の段階の意識障害、筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦、麻痺、病的反射などが現れる。麻痺は上肢で起こることが多い。痙攣は小児では多いが成人では10%以下である。

死亡率は20~40%(国内での過去25年間では約17%)で、幼少児や老人では死亡の危険は大きい。精神神経学的後遺症は生存者の45~70%に残り、小児では特に重度の障害を残すことが多い。パーキンソン病様症状や痙攣、麻痺、精神発達遅滞、精神障害などである。

いったん罹ってしまうと有効な治療法はなく、基本的には患者の治癒力に頼るのみである。日本脳炎対策の基本はワクチン接種と蚊の駆除である。

※以上下記サイト、
国立感染症研究所、日本脳炎から引用要約改変
http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/JEVMeeting.htm

21.朝、気分よく起こそう

朝起こしたい時間が近づいたら、まず、部屋を明るくしましょう。光の刺激は目覚めをすっきりとするのに役立ちます。そして、眠っている姿を出来るだけ頻回に観察してみて下さい。
ぐっすり眠っている時と、眠りが浅くなってもぞもぞと動き出している時を見つけて下さい。このもぞもぞと動き出してきた(眠りの浅くなった)時を見計らって声をかけると機嫌良く起きてくることが多いと思います。

ただ、かける声も「起きなさい!」とか「何時まで寝てるのよ!」とか「遅れるわよ!」などという、どちらかと言えば本人にとっては不快な言葉では良くないですね。
出来れば、本人が聞けば「さあ今日も頑張るぞ!」となるような言葉をかけて起こしたいですね。「今日は日曜日、みんなで遊園地に行くよ!」となればすっきり起きてきて身体もすぐに動き出します(嘘はいけませんが)。起こす前に、今日はどういう言葉をかけるか、よく考えておくことがポイントです。

睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられています。
成人の場合、周期的にノンレム睡眠とレム睡眠がワンセット(睡眠単位)で繰り返されています。大体、この睡眠単位の周期は90分位とされています。そして、夜、眠りについてから、最初の2単位(2周期)が特に大切で、ここに深い眠りがあるとされ、残りの睡眠単位はこの2単位と比較すると浅い眠りとなっているようです。

睡眠単位は新生児や乳児は40分~60分位、そして2歳~5歳位で60分~80分、5歳~10歳位で成人と同じ90分位になると言われています。

この睡眠単位の終わり頃に目覚めるとスッキリ起きてくる。睡眠には個人差が大きいので一概には言えませんが、就寝時間、起床時間が大体この睡眠単位の倍数になるように調整すると十分な睡眠がとれ、目覚めも良いと思います。…

20.子どもを寝かしつける

子どもは無理矢理寝かしつけようとしても無理です。子どもも大人も、眠くなった時にはすぐ眠りにつけます。何時に必ず!!ではなく、眠くなった時を見計らって眠りに誘うようにすると意外と早く簡単に眠ってしまいます。

どうやって眠くなった時を見つけるか?

  • ①眠そうな顔
  • ②目がしょぼしょぼ
  • ③あくびが頻発
  • ④活発に動いていた子が、あまり動かなくなった
  • ⑤足の裏が熱くなってきた時(これがポイント)

この⑤は起きている時と眠っている時に働く神経系が交代するために起きてきます。寝かしつけたい時間が近づいてきたら、時々足の裏に触って、熱くなってきていないか確かめて見て下さい。 波がありますので、うまくタイミングが合えば簡単に熱くなった時が見つけられます。 熱くなってきたらすぐに寝かしつけて見て下さい、大体うまく行くと思います。このようなときに刺激をすると再び目が輝いてきます。眠くなったなと思ったらさっさと寝かしつけることが肝心です。
また、兄弟姉妹がいる場合、たまたま一緒に眠くなることはあり得ますが、通常は別々の時間に眠くなることの方が多いと思います。眠くなった子から寝付かせる、一度眠り込んだらすぐに深い睡眠に入ってしまうので簡単には起きないはずです。
当然のことですが、夜になったら、興奮するようなことをしないで、眠気が気易いように配慮することは必要です。

早寝早起きにこだわる必要はありませんが、なるべく規則正しい方が身体には良いと考えられています。大体同じような時間に寝入って同じような時間に起きるようした方がよいでしょう。

足の裏が冷たい時はまだ眠くない時で、昼間起きている時に働く神経が活発な徴候です。

この眠くない時に、ただ暗くする、布団に無理に入れる、静かにしているのみでは中々眠ってくれません。時々聞きますが、眠らせようとして2時間頑張ったが眠ってくれず、つい怒ってしまった・・・・

これは、子どもから見ればいじめられているようなもの、でもお母さんから見ても貴重な時間が過ぎていき、やらなければならないことが出来ず、やはりある意味困った状態。

眠らせるには、やはり、タイミング!! と考えて下さい。…

19.咽頭結膜熱(いわゆるプール熱)

夏季、学校などでプールが使用される時期になると 流行するのでプール熱ともいわれる。原因はアデノウイルスというウイルスであり、 うつってから5日から7日くらいで症状が出てくる。

症状は39℃~40℃くらいの発熱、咽頭炎(咽頭が赤くなり痛みも出てくる)、
結膜炎(両目が赤く、ウサギの目のようになる)、頭痛や関節痛もあり、時に肺炎になり咳も出てくることもある。発熱は3日~7日くらい続くことが多い。

アデノウイルス3型が多いが、7、11、4型などでも起きる。年中みられるが、とくに夏季に多い。

治療は特になく、脱水症にならないように十分な水分補給や二次感染予防が大切である。学校感染症の第2種に分類され、主要症状が消失した後2日を経過するまで出席しない事になっている。…

18.Herpangina(ヘルパンギーナ )

ヘルパンギーナは、うつってから、2~4日の潜伏期があり、 突然の発熱、咽頭粘膜の発赤、口腔内(主にノドチンコの周り)に 直径1~5mmほどの周囲が赤い小水疱が出来る。 日本ではだいたい5月頃よりみられ始め、6~7月にピークになり、 8月から減っていく、いわゆる夏かぜの代表的疾患である。 発熱時に熱性けいれんを伴うことや、 口腔内が痛くて不機嫌になったり、食べることが出来なくなったり、 飲めなくなったりする事もある。 口腔内の痛みは、塩辛いもの、酸っぱいもの、硬いもの、 熱いものなどで強くなるので注意して食べたり飲んだりする必要がある。 口腔内の痛みがひどくなると脱水症などになることもある。 ほとんどは予後良好である。

まれには無菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがある。

患者の年齢は4歳以下 がほとんどであり、1歳代がもっとも多く ついで2、3、4、0歳代の順となる。 言い換えると、5歳になるまでには多くの子どもたちが このウイルスに罹ってしまっているということ。

今までにわかっている原因ウイルス

  • A群コクサッキーウイルス(CA)(2,3,4,5,6,10型など)
  • B群コクサッキーウイルス(CB)
  • エコーウイルス

感染経路は接触感染を含む経口感染と飛沫感染。急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強い。 回復後にも2 ~4週間の長期にわたり便からウイルスが検出される。

治療・予防

発熱や頭痛、口内痛などに対しては痛み止めを。 時には脱水に対する治療が必要なこともある。 無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要であるが、 後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれる。

特異的な予防法はないが、感染者との密接な接触を避けること、 流行時にうがいや手指の消毒も役立つかも知れない。

学校保健法における取り扱い

欠席者が多くなり、授業などに支障をきたしそうな場合、 流行の大きさ、あるいは合併症の発生などから保護者の間で不安が多い場合など、「学校長が学校医と相談をして 第3種学校伝染病としての扱いをすることがあり得る病気」と解釈される。 大部分は軽症疾患であり、登校登園については手足口病と同様、 流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって 判断すべきであると考えられる。…

17.風疹(ふうしん)

○風しんとは

風しんウイルスによって起こる病気。 このウイルスに感染して2~3週してから、発熱、全身に淡い発疹、 耳の後ろや頚部あるいは後頭下部のリンパ節が腫れがみられる。 普通は数日で発疹は消え、熱も下がる。 稀には、血小板減少性紫斑病や脳炎などの重篤な合併症を併発することがある。

また、感染しても無症状のもの(不顕性感染者)が約15%存在するといわれており、 発熱、発疹、リンパ節腫脹がすべてそろわない場合もある。

上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫を介して伝播される。 うつる期間は発疹がでる前と後の約1 週間といわれているが、熱が下がると 排泄されるウイルス量は激減し、感染はあまりしないと考えられている。

平成6年以降は大流行はなく、局地流行や小流行に留まっている。

○先天性風しん症候群

妊娠初期の女性が風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎盤を介して 胎児に感染し、出生児が先天性風しん症候群を発生することがある。 妊娠中の感染時期により重症度、症状が異なるが、出生児は白内障、 先天性の心臓病、難聴などがみられる。 その他、子宮内での発育の遅れ、網膜の病気、緑内障、小頭症、髄膜炎、 精神運動発達の遅れ、肝臓や脾臓が腫れ、血小板減少性紫斑病などの 症状が出生児にみられることがある。

先天性風しん症候群に対しては、

  • ・個人防衛として女性は妊娠する前にワクチンによって
    風しんに対する免疫を獲得すること
  • ・妊娠したら風しんウイルスに曝露されないようにすること

が重要である。…

16.水ぼうそう(水痘)

水ぼうそうは、水痘ウイルスの感染によって、全身に1mmから5mmくらいの 盛り上がった赤みのある発疹が出る病気です。 発疹は、全身どこにでも出ます。口の中や頭にも出てきます。 発疹は、出始めると、1時間ごとに数個以上というようなペースで増えていきます。 朝2,3個出ていて何だろうと思い、夕方みたら100個以上出ていると言うことも珍しくありません。ひどいときは、全身良い皮膚がほとんど無いくらいまで広がります。

かゆみが強く、たくさん出るとかゆくて夜も眠れなくなるくらいです。熱が出ることもあります。出始めると結構高く、39℃以上になることもあります。目の中に出ると、角膜が傷つくこともありますので、 水ぼうそうの時に目が赤くなったら眼科を受診した方がよいでしょう。

まれに脳炎・脳症や脊髄炎などの重い合併症が起こることもあります。今は、よく効く飲み薬がありますので、疑わしいときは早めに小児科を受診しま しょう。

なお、このウイルスは、一度体内にはいると、神経の根本に住み着きます。 そして時々増殖をはじめて、神経を痛めつけることがあります。 これがいわゆる「胴巻き」です。今では、飲み薬や注射薬が出来てきて、胴巻きも昔ほどこわい病気ではなくなっていますが、痛い病気ですので出来るだけ早く治療するに越したことはありません。…

15.暑熱障害

暑くなって来ると、あちこちで暑さのために倒れる人が増えて来る。

暑さによる障害は、熱が体内に蓄積され体温が上昇したために起きてくるものである。

人間は恒温動物であり、体温調節機構が完備しており、極寒の地から砂漠地帯まで住んでいる。しかし、どこに住んでいても生命を守っているのが水である。 水なしでは3日も持たない。特に、乳幼児の場合水分の出入りが激しく、 たくさん飲んでたくさん出て行く。このため、飲む量が減るとすぐに脱水になる 。 乳幼児では、一日でも危険であると考えておいた方がよい、 つまり、毎日たくさん飲まないといけない。

特に猛暑という天気予報があたることになれば、水分補給は欠かせない。どの程度あれば足りるのかの判断は、天気、屋内、屋外、運動量などによっても 違うし、個人差もある。 確実に判断できる方法としてオシッコの色、量、回数が使える。 いつものように、ほぼ無色透明で、いつもの量、いつもの回数でていれば足りて いる。 これが、黄色みを増してきたり、量が減ったり、回数が減ったりしたら急いで補充することだ。

長々と水の話をしたが、恒温動物である人間がいわゆる「猛暑」に耐えられないはずはない。 なのに、猛暑になると、倒れて、死ぬ人までいる。これは水の取り方が不足していた可能性が高い。 水分が不足すると、周りの暑さに対応して増えるはずの汗が出せなくなる。 汗は体温を下げる上で大きな役割を果たしている。 また、オシッコでも熱は外に出るし、犬が暑くなると舌を出して ハアハアいっているのも同じだが呼吸する時にも、呼気に含まれる水分と一緒に熱は外に出る。

この体温調節に大切な役割を果たしている水が不足すると体温が上昇し始め、 最悪の場合、体の中のすべての臓器に障害が及び多臓器不全といわれる 極めて重篤な状態に陥り、これで命を落とすことにもなる。

子どもたちに水分を! いつでも欲しい時に飲めるようにしておくことも大切。 保育園、幼稚園、学校、クラブ活動・・・子どもの周りには水分が最大の暑さ対 策だ。 水分もどのようなものを用意すべきは考えないといけないだろう。 一般的には、適度の電解質と適度の糖分ということになるだろう。…

14.あせも

夏になると、暑くなり汗が増えてくる 。子どもたちにとっては汗対策が大切になってくる。

アセモは、汗が出て、その玉(?)が浮いた状態で皮膚に長くとどまっていると 出来てくる(単なる私見)。したがって、アセモ対策は噴き出てきた汗を早く拭き取ったり、吸い取ったりすることである。

そのためには、皮膚と接触する服は新しいものは禁止(最低10回は洗濯を:これも私見)、肌着、あるいはTシャツはなるべく古いもので、綿製で汗をよく吸い取るものがよい。
なお、古い肌着を譲って貰うのは難しい、肌着は古くなるとぞうきんに姿を変えるか捨ててしまわれることが多い。

古い肌着を譲って貰うには事前に予約しておくことが大切である。

さらに、汗がよく出てアセモが出来やすい子にはランニングシャツのような皮膚と接触が少ないものは良くない、 汗を吸い取れない部分が多いとそこにアセモが出てくる。

アセモは予防である。…

13.麻疹(はしか)とは・麻疹(はしか)ウイルスについて

☆ ≪麻疹(はしか)はよくうつる≫

麻疹(はしか)ウイルスは、強い感染力を有し、ヒトからヒトへと感染する。
現在のところ、現行ワクチンによる感染防御効果は認められている。
飛沫を介するヒトからヒトへの感染で、飛沫核感染(空気感染)も重要な感染経
路である。麻疹ウイルスはカタル期の麻疹患者の咳の飛沫、鼻汁などを介して気
道、鼻腔および眼の粘膜上皮に感染する。
本邦では通常春から夏にかけて流行する。
感染性は非常に高く、感受性のある人(免疫抗体を持たない人)が暴露を受ける
と90%以上が感染する。

☆ ≪ほとんど毎年流行≫

毎年地域的な流行が反復している。ここ2年間は大きな流行はなかったが、それ
までは、年間、10万人以上の患者が発生していたと考えられている。この中で2
歳以下の罹患が60%以上を占めており、罹患者の95%以上が予防接種未接種である

脳炎は年間50例、死亡例は年間80例程度と考えられている。
成人麻疹(18歳以上)の患者は、多くは入院を要するような比較的重症例である
と考えられる。

☆ ≪ワクチンが有効≫

発症予防には麻疹ワクチンが有効だが、国内での麻疹ワクチン接種率は80%程度に
とどまっていると推定される。

☆ ≪麻疹の症状≫

<前駆期(カタル期)>
感染した後、10~12日経ってから発症する。
この時期は前駆期(カタル期)とよばれ、38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠
感、不機嫌、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、くしゃみ)、結膜炎症状(結膜充血、
眼脂、羞明)が現れ次第に増強する。
乳幼児では消化器症状として下痢、腹痛を伴うことが多い。
また口腔粘膜は発赤し、口蓋部には粘膜疹がみられ、しばしば溢血斑を伴うこと
もある )。

<発疹期>
カタル期の発熱が1℃くらい下降した後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5
℃以上)が出る(2峰性発熱)。 それとともに特有の発疹が耳後部、頚部、前額
部より出現し、顔面、体幹部、上腕、そして四肢末端にまで広がる。
発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5℃以上)が3~4日間続く。発疹ははじめ鮮…