育児に際して気になるあれこれを医師の立場からご紹介しています。

13.麻疹(はしか)とは・麻疹(はしか)ウイルスについて

☆ ≪麻疹(はしか)はよくうつる≫

麻疹(はしか)ウイルスは、強い感染力を有し、ヒトからヒトへと感染する。
現在のところ、現行ワクチンによる感染防御効果は認められている。
飛沫を介するヒトからヒトへの感染で、飛沫核感染(空気感染)も重要な感染経
路である。麻疹ウイルスはカタル期の麻疹患者の咳の飛沫、鼻汁などを介して気
道、鼻腔および眼の粘膜上皮に感染する。
本邦では通常春から夏にかけて流行する。
感染性は非常に高く、感受性のある人(免疫抗体を持たない人)が暴露を受ける
と90%以上が感染する。

☆ ≪ほとんど毎年流行≫

毎年地域的な流行が反復している。ここ2年間は大きな流行はなかったが、それ
までは、年間、10万人以上の患者が発生していたと考えられている。この中で2
歳以下の罹患が60%以上を占めており、罹患者の95%以上が予防接種未接種である

脳炎は年間50例、死亡例は年間80例程度と考えられている。
成人麻疹(18歳以上)の患者は、多くは入院を要するような比較的重症例である
と考えられる。

☆ ≪ワクチンが有効≫

発症予防には麻疹ワクチンが有効だが、国内での麻疹ワクチン接種率は80%程度に
とどまっていると推定される。

☆ ≪麻疹の症状≫

<前駆期(カタル期)>
感染した後、10~12日経ってから発症する。
この時期は前駆期(カタル期)とよばれ、38℃前後の発熱が2~4日間続き、倦怠
感、不機嫌、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、くしゃみ)、結膜炎症状(結膜充血、
眼脂、羞明)が現れ次第に増強する。
乳幼児では消化器症状として下痢、腹痛を伴うことが多い。
また口腔粘膜は発赤し、口蓋部には粘膜疹がみられ、しばしば溢血斑を伴うこと
もある )。

<発疹期>
カタル期の発熱が1℃くらい下降した後、半日くらいのうちに再び高熱(多くは39.5
℃以上)が出る(2峰性発熱)。 それとともに特有の発疹が耳後部、頚部、前額
部より出現し、顔面、体幹部、上腕、そして四肢末端にまで広がる。
発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5℃以上)が3~4日間続く。発疹ははじめ鮮
紅色扁平であるが、まもなく皮膚面より隆起し融合してくる。発疹は次いで暗赤
色となり、出現順序により退色する。発疹期にはカタル症状は一層強くなり、特
有の麻疹様顔貌を呈する。

<回復期>
発疹出現後3~4日間続いた発熱も回復期にはいると解熱し、全身状態が改善して
くる。発疹は退色し色素沈着がしばらく残り、カタル症状も次第に軽快する。7~10
日後には合併症のないかぎり回復する 。

☆ ≪出席停止期間≫

また、麻疹は学校保健法による第二種伝染病に分類され、出席停止期間の基準は
、解熱した後3日を経過するまでである。

☆ ≪合併症は5歳以下あるいは20歳以上で多い。≫

下痢が患者の8%、中耳炎が7%、肺炎が6%におこると報告されている。
脳炎が1,000例に1例程度報告されており、死亡率は約15%で、後遺症が25%に残
るとされている。
その他、クループ症候群、心筋炎・心筋炎、心外膜炎、亜急性硬化性全脳炎など
がみられる。
感染を予防することがもっとも重要である。