2歳児の怒りと絶望

2歳1か月のHくん、男児。友達に貰った手製の団扇を大事にしている。ある日、その手製の団扇を振り回していたら近くにいた大人の顔に当たってしまった。怪我をしたわけでもなく、少し触れた程度であったが、当たった大人と側にいた母親の二人で、「ごめんなさい」と言うように催促された。しかし彼には思い当たることがあったのかどうか怪しい。何度言われても下を向いて黙っていた。そして終には泣き出してしまった。彼にとっては、手製の団扇が人に当たったという事象は初めての経験であり、それが相手にどう影響したかなど分からなかったであろう。何も謝るようなことをした覚えはなかったのでは。何もしていないのに謝れとは心外であり怒って下を向き黙っていた。ところが周りは謝れとしつこく言って来る、味方はいない、絶望的となって遂に泣くしかなくなった。よく見る光景のように思う。子どもたちを「しつけ」たいが為に何気なくおこなってしまいそうであるが、子どもたちの状況を理解しているかどうかが肝心である。今回のように、初めての経験で突然謝れと責め立てられても、子どもたちにとっては理不尽な出来事に過ぎない。謝る理由が見えていないのである。時々30分叱られた、1時間叱られた等と聞くが、これも意味のない大人の対応であろう。1時間も叱っていたら、叱っている大人も何故叱っているのか忘れてしまって、返答しないこと・黙っていることなど別のことに内容が変わってしまっているだろう。叱るのが目的となってしまっていると思う、意地になって。

——————————————————————————–Kaname Tanimoto 12.12.04