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子育て講演会、交流会

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-10

ひとりでがんばらないで

 この一番最初にお渡しした紙のいよいよこの「ひとりでがんばらないで」っていう所に入っていきたいと思います。

今までの話を整理して聴いていただいたら分かると思うんですけども、頑張ってすごく疲れている人に私達がかける言葉にどんなのがあるでしょうか。ものす ごく一所懸命です。自分の力を信じて外からの力を跳ね返しながら、それから自分の気持ちを表現しながら、いっていかれてる、その方達に頑張らなくていい よって言うのは違うなって思ってるんです。頑張っておられるんですから、ものすごく。頑張らなくていいよって、ものすごく失礼だと思うんです。それで、頑 張らなくていいよって言わない代わりに、「ひとりでがんばらないで」って伝えたいわけです。そしてその前に無理をしないでね、自分の体を大事にしてね。そ のことを伝えていきたいなと思います。今うなずいてくださってた方がたくさんいらしたんですけど、ご自分のことに置き換えて考えられるととてもよく分かり ます。頑張る為には安心して過ごせる場所が必要です。子どもさんにとって頑張るのに安心していられる場所っていうのは、お家の方の側です。一番最初に0歳 の時に大好きになった、安心していられる場所だなーと思った、お家の方の所が子どもさん達が外に出ていく一番の港になるんだってこと、よく言われますよ ね。その港であるお家の方達が疲れていると子どもさん達が疲れて港に戻ってきたり、外で怖い思いしたり、暗闇が怖かったりいろんな経験をしながらお家に 戻ってきたときに、港の中が外の海よりももっと大荒れだったら、子どもさん達帰ってくる場所なくなってしまいます。なので、みなさんの港が穏やかでいられ るように、先ほどから私が話してきたこと、ご自分のご家庭に当てはめたりご自分の気持ちの中に当てはめて、一度誰かと話をしてみていただけたらいいなと 思ってます。こういう言い方をされる先生があります。心の安全基地っていうんだそうです。子どもさん達が帰る心の安全基地であるお家の方の心の中の安全基 地が出来ているということが必要だそうです。なので、ここにいらしているみなさん一人ひとりの中に、自分が大事だなって気持ち、自分は好きだなって気持ち と、それから、私のことをちゃんと見ててくれている人がいる、私のことをちゃんと分かってくれてる人がいる、そういう人を作って置かれて、それがあるから こそ子ども達がお家に帰ってきたときにお父さんやお母さんやお家の方の元が安心して戻ってこられる場所になってくるといいですよね。

こういうお話しをしていくと、傷つかれる方が出てきます。ちょっとここから嫌な思いをする方がおられるかもしれないですけど、ご自身が小さい頃どういう 環境の中で育ったかっていうことを思ってしまわれる方が、あると思います。自分自身は安心した中で暮らせてきたのか、落ち着いた気持ちでいれたのか。この 私にはこの子ども達を見てていいのかって気持ちがあると思います。ものすごく不安だと思うんですけれど、それは元に戻って取り返さなくてもいいものではな いかと。みなさんが今この年になっておられて0歳や1歳になって取り戻さなくてもいい。小さい頃に辛い思いをされてきた方の中には、ご自分の子どもさんに 実は手が出てしまう人もおられると思います。ご自分自身を痛めつけてしまう人も中にはおられるらしいです。しかし、そういうことをしないで暮らしていける 方もたくさんいらっしゃいます。そう出来る分かれ目になるところっていうんでしょうかね、自分の心の中に安心だなって気持ちが持てたか持てなかったかは大 人になってからの出会いの中にも、実は出来ている、あるんだそうです。なので、ご自分が小さい頃からこういう目に遭ってたから自分は子どもが見られない じゃなくって、だから、私は今自分の心が落ち着いて安心していられるような人、あるいは、物をご自分の心を落ち着かせるものを持っていようと、思う気持 ち。それがね、とても大事なんだそうです。自分の気持ちを表現するのに自分の気持ちの中にあるもの全部語ってしまうことはないわけです。辛かった苦しかっ た、こんな私は体験をした、そんなの吹き出すように話したらね、ぼろぼろになってしまいますのでね、それはお話しなさることはないと思います。辛かった記 憶はご自分の中に止めといて、おっしゃらないこともそれも一つの元気、自分ていうものを大事にする方法だという方もあります。どこかで辛い思いをしてこら れた方がもしあって、こういう話を聞いたときに、自分はどんな中で育ってしまったかって思ったときには、そう思わないでくださいね、ってことを是非伝えた いと思います。今、側にいるお友達や、ご家族の中に私のことを好きだと言ってくれる人がいたり、大事だと思ってくれる人がいる。そういう人を是非見つけて くださって、ご自分を傷つけない、それから子どもさんに対して、ご自分の満たされなかった思いをぶつけないですむようにしていっていただけたらなというの が、私が一番今日お話ししたかった内容です。

今日この私の話の中で、一度だけ虐待という言葉を使いました。ただ私は普段この言葉をあまり口にしません。言いません。これはね、子どもさんに対して、 手を挙げたり言葉で傷つけてしまう方達がひどい人だと思っていないからです。その方達は、あるいはそういうご家族の方達は長い間長い間ご自分達が苦しんで こられた、ご自分でも気がつかないけど、なんか抱えてこられた、そういうものにみんなが気がついていかないといけないと思うからです。いろいろな所に実 は、相談室ってあります。福祉事務所の中にこの相談室があるのとってもいいと思うんです。先ほどから言いました、エンパワメントって考え方は実は障害者福 祉のところでよく言われるんです。ご自分が例えば足が不自由で歩けない、と歩けないことをその人の力として評価するのではなくて、歩けないけどこれが出来 るという出来る方の力をとても大切に見ていこうというのが福祉の世界の考え方です。これがご家族の辛い思いを受けとめていく相談室の役割だろうと思いま す。実際にみなさんがよくお耳にされる、児童相談所ってありますよね、児童相談所ってそういう事をするお家のことを、する人をしかる場所みたいに思ってお られる方もあるかもしれませんけど、実はそうではないです。児童相談所という所は、児童福祉の最先端の機関です。子どもさんを育てておられるお家の方を 守ってくれる、助けてくれる場所だと、思っていただいたらいいと思います。福祉というのは、人の中にあるありのままにいていい自分、さっき言ったエンパワ …

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-9

子どもとのやりとり

 この私を中心にして物を言っていく言い方っていうのを子どもさんとの中に取り入れて行かれたらどうかなって思うときがあります。私がこう思うという事が 表現できると、相手が、私がこう思うっていう声が聞こえてくる。さっき言いましたね、聴くということその聴くということの中身に自分が言えることが出来る と相手の気持ちを聴くことができる。ここから子育てひろばの講演会ですのでね、今までは大人の話として実はしてきたつもりです。ここから子どもさんとお家の 間でのやりとりをちょっと考えていっていただきたいですけれど。

子ども達がやんちゃを言うとき、先ほど健診で私がお話ししますよっといった、子どもがどういう風に成長していくかの課程をまずよく知っておられるといい かな。それからその年代の子どもさん達が言葉に出していくことがいったいどんなメッセージなのか、そのことを気づいて行かれるといいかな。私達は小さい子 どもさんに関わることがほんとに多いですから大きい子どもさん達のことは上手に言えないですけれども、4歳、5歳ぐらいでね、ものすごく泣き虫や恐がりに なる子どもさんが実は出てきてね、お家の方からのご相談がすごく多いんですよ。保育園の先生方はどうしてそうなるかよくご存じだと思いますけれど、赤ちゃ んに戻ってしまったみたいにみえるんすよね。ほんとに怖がるしほんとに泣くし暗くすると嫌がるし、そういう子どもさんお家の中でうちの子もそうなったわっ て方いらっしゃいませんかしら、その時にお家の方はなんだ子どもに戻っちゃった赤ちゃんに戻っちゃった、嫌だわって思うんだけども、子どもさんの成長過程 を知っておられる方は、この4歳の時にいろんな感じる、今まで感じなかった怖さとか、悲しさとか、うれしさとかに気がつくそういう神経の枝がいっぱい育っ てきてて、そのことをキャッチできるようになったんだって事を知っておられると、すごく泣いてすごく夜困らせるんだけどお家の人を、この子はお兄ちゃんお 姉ちゃんになれたんだな、なってきたんだなっていう目で見れますよね。そのときに出す子どもさんの怖いって声を聴く側のパワーになると思うんです知識が ね。

なので、子どもさんの成長過程もし迷われることがあったり困られることがあったら、保育園の先生がよく勉強されてますので、お尋ねになられるといいかなと 思います。4歳の子どもこんなんだけど、これって先生どうとか、3歳の子どもがこんなんだけど、先生どうって。そのときに先生方はお伝えしていただく方法 として、家族の関係を先に見てしまわないで、お母さんがこういう風に受け止めてないからかなって思ってしまわないで、3歳の子ってこんなんだとか4歳の 子ってこんなんだってね、どの園でもそのように伝えてくださってるみたいです。ここの園の先生方ともよくお話しするんですけれども、こんな風な事があって こんな風に伝えたよって聴くと、すごい、現場の先生方ってすごいって思うんですよね。みなさん遠慮なく尋ねられたらいいかなと思います。それから5歳頃に なってね、ちょっと小さい子どもさん持ったことのない方は、なかなかわかりにくいかもしれないと思うんですけど、子どもさんがパンツの中でうんちしちゃう んですよね。隅に隠れてね。その時に、自分はすごくお兄ちゃんお姉ちゃんになりたいのに、家族からの指示がすごく多かったりする時があるんですね。実際に 行動はすごくかけ離れてるのに、お部屋の隅でうんちしちゃうのに、でも実際にはそうじゃないお家の方の指示から自分が独立したがってる、離れたがってるっ ていうのが、上手に体の中で表現できなくって、そういう行動に移るんだって事をおっしゃる方があって、なるほどなと思ったことがあります。上手にトイレに 行ってうんちが出来ない。もっと小さい子どもさんの場合だとね、自分のお腹の中で作った物がどっかいっちゃう不安ってあるんだそうです。自分のお腹の中で せっかく作ったのにお水に流れていってしまうって思ったらすごく悲しいって。そんなことも聴いてれば分かるけど、聴いてないと何でこの子ここでしてくれな いのよとかって、怒りに変わってしまうでしょ。なので、どうかなって思ったとき、遠慮なく園の先生方に尋ねていただいたらなと思います。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-8

自分が元気でいるために

こういう中で、いろいろな事に対して自分が元気でいる為に、とてもいい方法を提案されている方達がいますよね。みなさんお聞きになったことがあると思うん ですけど、「私はどう思う」というそういう言い方、家族の中でもめ事が起こりそうになったときって、どうでしょうね、どんな時があるでしょうね、例えば さっき3歳の子どもさんが私に対して馬鹿って言いましたよね。お母さんに対してもお母さんの馬鹿、馬鹿って言うんですよね、お母さんの馬鹿って言いながら 自分が寂しかったり自分が辛かったりする事言ってますでしょ。いつもお母さん達と出会うときに言うんですけど、「子どもさんの言葉に吹き出しがあったらい いね」って。実際に言ってる言葉とそれから心の中で思ってることと違いますよね、そこに吹き出しがあって、「お母さんの馬鹿」って言ってるのが、「僕はお 母さん好きだよ」って言って聞こえるといいねって言って話すんですけど、そういうことお家の中で結構ないでしょうかね。子どもさんがお母さんを求めて抱っ こして欲しくてもお母さんの方が気持ちにゆとりがないときに、子どもさんがぐずる、でもここに「お母さん抱っこして」って出たら、そうかって思って抱っこ できますよね。そういうことがお家の中でも結構あると思うのは、例えばですけれども、これ言うと、すごくわかっていただきやすいんですけれども、今日は女 性が多いですよね。ご自分が中学生、高校生の時に門限なかったでしょうか。お家の門限、なかったですか。何時に帰ってもよかったですか。8時なら8時と か、9時なら9時とかに帰りなさいって事、言われますよね。その例えば9時に遅れたとしましょう。今みなさんがお母さんだとします、子どもさんにどういう 風に言うでしょう。どうでしょうお父さんだったら、遅く帰ってきたお嬢さんにどういう風にお話しなさるでしょう。どういう風に言われるだろう。「あなた約 束守らなかったじゃない、何時に帰ることになってたのに」って言って。「罰よ」っていって鍵かけて開けなかったり。そんな体験されたことないでしょうか ね。そこで例えばお家の方が「お母さんは心配してたわよ」って言ったり、「お父さんはどんなに心配したか」って言ったりする、お父さんやお母さんの気持ち で帰りが遅かったことを指摘されたりしたら、そのときはほんとになんか、約束守らなかったいけなかったなって素直に思えるかなって話をお母さん達とするこ とがあります。お母さん達やっぱり約束守らなかったじゃないって事を先に言ってしまうなっていうことをよく言われて。でも、自分が子どもだったら、心配し てたよが先に欲しい、それを言って欲しい、じゃあ私が自分の子どもに声をかけるときにどういう風にしたらいいかが少し見えてくる。

先ほど言っていた、自分って嫌だなと思ったときにでもこれっていい事じゃないって思うような、そういうような箱がもう一つあって、あなたを攻めそうになっ たときに、自分の意見で物が言えるそういう言い方を練習されといたらどうかなと思うんですよ。こんな工夫をしてるお家の中でこんな工夫をして言ってみて るって方もいらっしゃると思いますけども。例えば、おいしいご飯を作って待ってました。家族の帰りがみんな遅い、腹が立ちますよね。さめちゃうし、仕事か ら帰ってきてものすごく忙しく作ったのに、って思ったら、帰ってきた人に対して「何であなた帰りが遅いのよ」って言っちゃうでしょ。だけどそこで、「俺 だって仕事があるんだ」って言っちゃったら、止めどなく言い合いが続くでしょ。それを一番最初のボタンをかけるときに、「私一生懸命お料理作ってたの よ」って先に出たら、ずいぶんとその争いごとは少なくってすむんじゃないかなって思うんですけど、どうでしょうか。そういうやりとり、職場の中であった り、お家の中であったり結構するんじゃないかなと思います。自分が元気なときは出来るんですけど、元気がないときは出来ないんですよね。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-7

相談とは気持ちを表現していくこと

問題を解決して行かれる中で、先ほど言った相談の大事なことというのは、気持ちを整理していくのにご自分の気持ちをきちんと表現できるかってのが出てく ると思うんです。ちょっとね話がだぶったように聞こえますけどね、すごく大事なことですのでもう一度確認しましょう。一番は「気持ちを表現していただく」 ということです。人が健康に生きていく為に、悔しいとか悲しいとかそれから嬉しいとか辛いとかそういう気持ちを表していく事って、すごく大切だと思うんで す。なので相談室にいらっしゃるときは、怒ってたら怒ったままでいらっしゃってくださっていいと思うんです。それから、悲しかったら泣いたままでいいと思 いますし、そんな感じを見せたくなかったら、表情を何も見せずに来てくださっていいと思うんです。気持ちを表現するということは、自分自身の中の言いたい ことを整理するにはまず一番最初にしなければいけないことだと思うんです。私達ってそういうことあまり慣れてませんよね。人前でそういう感情見せたりした らいけないし、取り乱した姿も見せちゃいけないし、かっこわるいと思いますよね。でも先ほど言いましたようにね、相談できるというのはね、まだ元気がいっ ぱい残ってるんです。パワーがあるんです。私はパワーがあるからこうやって人の所に来て話ができる。っていう風に考えてただいたら良いと思うんです。 す ごいでしょって、私こうやってこれるのよっていって、そうやってきていただいたらいいと思うんです。で、2番目に「人の力を借りる」って書いてあります。 これ、手助けしてくれって事じゃないんです。それも言っていいんですよもちろん。助けてよって言ってていいんですけど、その前に「人の力を借りて自分の気 持ちを話す」って事だと思うんです。相手がいないと自分の気持ちって話せませんのでね、相手を選んでもいいと思います。

相談室に来ていただかなくても、大切なお友達でもご家族の方達でも誰でもいいと思います。子どもだったらお家の方がその役割をするようになるのかな。ある いは保育士さんがするようになるのかな。と思うんですけどね、誰かの力を借りて自分の気持ちを是非話してくださったらなーと思います。どうしてかというと ね、その問題を抱えてる方々はどういう風にしていったらいいかを落ち着いているときは十分考えられる方達ばかりなんです。その方達が、すごく大きな問題を 抱えた為に、ご自分でね、やりたいこととかしたいことか人の力を借りたいということが、言いにくくなってる、整理しにくくなっているっていう状態じゃない かなって感じる時があります。それを覆い隠してるのがくやしいとか怒りの感情だったりして、それが自分のしたいことの前に何枚も何枚もかぶさってしまって いるので、表現できない。それを今度は話すことで取り除いていただいて、自分が本当は何をしたいのかどんな風にしていきたいのか、をお話していただいたら と思います。たまたまこの中に思春期の子どもさんを見てらっしゃる方たちがおられるようですので、このお話をするととてもよく分かられると思うんですけれ ども、子どもさんが何かを言われたときに何か解決のアドバイスを大人はしなきゃいけないと思われること多いですよね。それから誰かお友達に相談されたとき もそうです、何かアドバイスしなくっちゃって思われると思うんですけれども、そのアドバイスはしなくていいっていうのはどうもこの話を聞いていただいてる と分かるんじゃないかと思います。聴いていただいたら良いと思うんですね。しっかり聴いて、それで尋ねない。どうしたいとかこうするといいよとか言ってす ぐに答えを出さない。さっきの私と3歳の子どもさんのお母さんのやりとりを聴いていただいて。あれはたったの一例ですから、たくさんの方と出会う中、思う んですけど、すぐにそういうアドバイスって欲しくないですよね。ご自分の中で気持ちを整理する時間とそれから相手とそして最後に書きました行動からの選択 肢、そのときに初めて三番目が出てくる。と思います。中学生くらいとかね、高校生くらいの子どもさんが人にこんなきもち話すのなんてほんとにかっこわるい し、恥ずかしいしやだっていいますよね。惨めになるし、嫌だ。でも誰かに話すということが君の元気なんだよって言葉を誰かにかけてもらったらどんなにか嬉 しいんじゃないかなと思います。みなさんのお家におられる小さい子どもさん達もそういう思春期の子どもさん達になって行くわけなので、ご自分の心の中をこ ういう風に思った上で子どもさんの世界を見ていくと、分かることが、見えてくることがたくさんあるかなーと思って今日お話しをさせていただいてます。先ほ どから言ってますが、私専門家じゃないので偉そうにこんなこと言って話しちゃいけないとほんと思うんですけれども、でもせっかくいただいた時間ですので、 私が出会った方の中から、私の中から感じて思ってきたこと、それをお話ししてみました。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-6

相談室の役割

相談には、先ほどいいましたけど、相談することの時間と、それから相手がいることと、それから相談した後、今度はご自分がどういう風にして行かれるかの ね、材料が必要になるんです。その材料の所はどうも私達でも出せるみたいなんです。先ほどもいいましたけれども、子どもさんを育てておられるご家庭ほんと にたくさんの問題をもっておられると思います。これは先ほど紹介の中で言っていただきましたけれども、経済的な問題もとても大きいと思います。大変な時代 です。民間の企業もほんとに大変な時代です。その中で、子どもさんを育てて家族が生活していくということ、とても大変なことです。ですので、安全な環境、 安全な場所、まずご自分達が作られること、とても大事だと思います。安心して暮らせる場所、相談の中で私達がお手伝いできるのはこの部分だと思います。安 心して落ち着いて暮らせる生活を、どういう風にその方が作って行かれるかをご自分で決めていかれるのに必要な材料が出していける、それが福祉事務所の中の 相談室の役割だと思います。これはご家族の希望を聴いて希望通りになるわけではないんです。

ただね、制度を知らない為に、仕組みを知らない為に、今までせっかくそれが使えたのにできなかったって事があって安全を得られてないならば、この安全 を、安心する気持ちっていうんでしょうか、それをご家族に持っていただくように私達からいろんな事を出していくことができると思います。それからご自分が それをこなしていかれる、あるいは手続きして行かれる時に、私達はお手伝いをあまりしないようにします。これはなぜかというと、自分でそういう段取りをふ んでできたという実感が誰かが手伝ってしまうとできないっていう部分があるんです。なので、そこはもちろんこんな風にしたらいいとかあんな風にしたらでき るとかっていうのはいっぱい出していきますけれども、実際に動かれるのはご本人がいいと思います。ご自分で動かれて動いただけのことはあった、動いたら ちゃんとこんな風にできる、それから動いただけのことは回り出すっていう体験をして行かれることの方がいいかなって思ってます。それから、最後にその選択 をするのはあくまでも自分であるということ、このお家にとってこれが一番いいかなと私達が思ってても、決める自由はその方にあるんです。これはねすごく気 を付けなきゃいけないと思います、特に子どもさんに関わるお仕事をしとられる方だと、気を付けていただきたいなと思うのは、子どもにとっていいからこの選 択をしなさいって、ご家族に結構言ってしまいがちなんですよ。だけれども、自分ですからね、私ですから、私が何かを決めないと頑張れないですから。必ずそ の方達が、たくさんの材料の中から選ばれて、決めて行かれたらいいと思ってます。それがその方の持つエンパワメント。自分自身が決められる、自分自身が大 切、そして自分自身の中に持ってる力、パワーを信じているって事になると思いますので、この感覚はぜひに、もし、子どもさんに関わる仕事をしておられる方 がこの中におられるようでしたら、持ってていただきたいなと思います。福祉の現場からお話しをさせていただくチャンスを今日いただいたので、これだけは是 非に伝えたいと思います。いろんなご意見があると思いますのでね、それは違うと思ったらまた終わった後にお話しをいただければと思います。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-5

共感すること

その聴くこと、共感することっていうのは、何となく思いながらやっていたんですけど、実はこれはとてもどうも大事な事らしいです。共感するって言うのはエ ンパシーっていうんだそうです。ただし、自分の思い込みで聴いてはいけない。そこには聴く側はしっかりと勉強しないといけない、っていうこともわかりまし たので、いろいろな機会を見て私も勉強に出るようにしています。その中にもう一つですけれど、これは福祉の世界ではよく使われる言葉です。私、福祉事務所 の中にいますので、先ほど言いましたようにご高齢の方から、障害を持たれた方からいろんな方が福祉事務所にはいらっしゃいますしその制度のことについて も、私達ももちろん勉強していきます。そのなかに、エンパワメントって言う言葉があるんです、このエンパワメントっていうのが人は生まれながらにして持っ ている、すばらしい力を持っているそういう考え方なんだそうです。これはその人が努力するから得られたっていうものではなくって、始めからその人が持って いる力、それをエンパワメントって言うんだそうです。で、このことを少しずつ勉強する中で、まさに私が接して出会ってきた方達はご自分の中でご自分の力に 気がついて、動いていっておられるんだなーというのをすごく感じました。このエンパワメントについて、ちょっと話をしていきたいと思います。

ここに来ておられる方達は、お家の中でお母さんやお父さんであったりするほかに、社会の中でお仕事をしておられて、こういう知識十分お持ちの方がいらっ しゃるのでお話しするのは特に専門家でない私がお話しするのがすごく恥ずかしいことなんですけども、ご自分の知ってる知識を整理する様な気持ちで聴いてい ただけたらと思います。

生まれながらに、人は、先ほど言いまいしたよね、さまざまな力、力ってパワーの方の力、パワーを持っているんだそうです。そのパワー、心の中に「私」がい て「私」に対して外から加わって来る抑圧とか、自分自身の中で起きてしまう抑圧とか、実はあるんだそうです。これを知ってると、ご自分の子どもさんのこと ではないです、ご自分のこととして聴いていただけたらいいと思います。この外からの抑圧の中には、実はこういう物があるのではないかといわれています。こ の辺ってちょっとわかりますよね。こうあるべきだとか人はこうするものだとか、たとえば、女性の方なら女性はこうするものだとかいう外から作られたイメー ジ、その人へのイメージとか、それから、あの人と比べてこうじゃないかとか、そういうこと、子どもさんで言えば虐待とか、あまり私はこの言葉使いませんけ れども、あえて出しましょう。いじめとか、それから今、問題になってますね、ご家族の中の暴力とか、それから、言葉の暴力みんな含めて、「私」という心に 対して外から加わってくる力ってすごく強いですよね。で、私は生まれながらのすごいパワーを持っているんだけれども、この外からの力を受けて、自分の中で 内的抑圧といって自分のイメージを作ってしまうんですかね。私はそんなに取るに足りない人だとか、あの人が言うからきっとそうなんだとか、ほんとはすばら しい力を持っているのに、すばらしい考えるパワーを持っているのに、それは私にはない、というふうに自分の中で決めていってしまう、それを内的抑圧とどう も呼ぶらしいんです。それに対して自分の心が元気な時はそれを外に跳ね返していく力、それから私ってほんとすばらしいよって言い返せる力、そういうのが出 てくるんだけれども、実際にはあまりに外の力が強すぎると、ご自分の力が弱まってしまうということがあるわけです。私自身が弱まってしまった時って自分の 中で自分の事を考えていく事ってとっても難しくなると思うんです。

それは子どもさんを育てているという事に限らずです。私も実は仕事の中でそういうことがたくさんあります、さっき一番最初に言いましたけど、私がこの仕事 をしてはいけないと思った時に、まずこのことをすごく思いました。こんな人がこの仕事をしちゃいけないよと、それは子どもを育てていた中で、自分もこの外 的抑圧と内的抑圧が、外的抑圧が強くて、内的抑圧が自分の中でできてしまって自信のない状態でね、自信のない中で子どもを育ててきた人が、いったい何で子 どもさんを育てておられるお家の方とお話ができるだろうかと思った時に、すごく元気がなくなったんです。これが何年かおきにやってくるんです、実は去年も 来たんですけど、それは後でお話しします。3年目ぐらいでしたね、知れば知るほど恐ろしくなって怖くなって、私がやっちゃいけないって思うわけです。勉強 すればするほど、思うわけです。自分の中にある力というのは、たとえば、勉強したり努力したりそういうことで作られていくものじゃないということに気づく のにだいぶかかりました。私はお母さん達によくお話しするんですけど、自分の中の好きな所はどこ?っていうことをよくお話しします。悪い所はいくらでも言 えるんですよね。自分の中の嫌な面って、でもそれが自分にとって良い面だっていうのはなかなか言葉にできないですよね。でも私は努力するからすばらしい人 なんだとか、それから肩書きが何々だからすばらしい人なんだじゃなくって、「私」って人、丸ごといいでしょって誰かに言えるその力が、その部分が真ん中に 書いた「私」って部分だと思うんです。ちょっと具体的じゃなかったかな話し方としては。それでこの「私」がしっかりしてるということは実は最初の健診のと ころでお話しした、基本的な信頼関係が人と結べているかってところがどうも大事らしいんです。世の中で生きてて誰か自分を信じてくれてる人がいるなーと か、守ってくれている人がいるなーっていうそういう安心感みたいな物がこの「私」っていう大元の力になっていくらしいです。それから疲れてくるとこの 「私」の周りの、ハートの部分の柔らかさがなくなるんです。たとえばよく例えに使われますけど、ボールに例えるってありますよね、この心をボールだとする でしょ、すると外からあなたはこういう風にしなさい頑張りなさい、あなたはちゃんとできてないじゃないの、って言われたときに、ボールに弾力性があるとそ んなこと言ったって、ってパンと跳ね返せるんだけども、ボール自信がすごく疲れていると、つぶれたらゆがんでつぶれちゃいますよね、べちゃってね。そうす るとここだけは保っているのにこっちがつぶれちゃってすごくしんどい状態になるわけです。それからもっと大きな力が加わる、すごく大きな暴力とか、天災と …

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-4

3歳児健診のとき

つぎに3歳児健診の時なんですけれども、3歳児健診ね、子どもさん計測させたりすごく手こずるでしょ、嫌がるんですよね。園で慣れてておとなしくしてく ださる子どもさんもあれば、園でしてても不安な、こんなたくさんな人がいる所ですから、とても不安に思ってやんちゃいわれる方もあります。そのときに、お 母さんの気持ちお父さんの気持ちがね、なんでちゃんとせんのだっていってすごく、いらだつんです。そのいらだちを、こういう会場の中ではみなさんなかなか おみせにならないです。トイレに連れて行った時とか帰りがけにエレベーターの前とかで、気持ちが爆発しちゃうんです。

私達は気がついているんです、スタッフは、お母さんしんどそうだな、気持ちがすごくそうだろうなって思っていっぱい配慮はしますけれども、その配慮を越 えてまだ行き届かない。そりゃそうですよね、すごく嫌ですもんね。で、外にでてから子どもさんを揺り動かすように叱ってしまう姿を時々見かけることがある んです。そのときは、子ども自身もお母さんの気持ちを察して、そこでは泣きわめいてるんです。そこで、「抱いてあげればいいのに」って保育士さん思われる でしょ。そこで抱けば子どもさん落ちつくのにって思うんだけど、抱く気持ちよりもはるかに大きくお母さんの気持ちが揺れてる訳なんです。だからそのお母さ んに、この子どもさん抱いてって、言うのは違うと思うんです。そのお母さんの揺れてる気持ちを誰かがそばにいて一緒に感じてなきゃいけないんじゃないか なって健診に出ているスタッフはみんな思ってるんです。ただね、その側にいるって、言い方ってとっても難しくってね、言葉ってね、とてもいい時もあります けど、言葉では伝わらないこといっぱいあるんです。で、落ち着いてお茶を飲んでいただこうとするけれど、お茶も飲めないです。お母さんも飲めない子どもも 飲めない。その中で、お母さんの側に誰かがしばらくついて、一緒にいることを私達はなるべくするようにしています。ただいるだけです。子どもを膝に乗せて いても腕に力入りません、お母さん力入りません、なので、ずっと側にいます。で、お母さんが泣きたい時はどんどん泣いてもらいます。泣いていいよ、とも言 いません。その場を立ってね、帰りたいお母さんもあると思うんですけれども、少しだけここで休んでから帰られたらって言って、それだけは声をかけて、しば らく誰かが側にいるようにします。そうするとね、お母さんと子どもさんはお互いにこう、よく例えに使われるけれども、ハリネズミが針で刺しあうみたいって いいますよね、そういうのを読まれたことある方があるかもしれません。ものすごくお互いに大事だと思っているのに、そのとき、両方からするどいトゲがで て、刺しあってるみたいに見える時がときどきあります。その刺しあってるような姿を私達が側で見てて、お母さんの気持ちに、ただただ側にいるだけ、寄り添 うだけ、そうしていると、すごく失礼な言い方かもしれないけど、お母さんが愛しく見えるんです、ものすごい愛おしく。この方ものすごく一所懸命、すごく子 どもを可愛いと思っておられる、だけど子どもを揺さぶってしまうし、子どもに手が出てしまう、でもこの人はとてもこの子を大事に思っているっていうのが、 側にいると伝わってくるんです。

お互いにらみ合ってますよ、すごいにらみ合ってますけど、とても大切だからこの子どもさんの言う言葉や態度に傷つけられる。それから、お母さんがそうやっ て悲しんだりいらだったりすることに子どもがまた反応している。その様子を感じた時に、ああ、このお母さん、ほんとに私達抱きしめてあげたいな、ってこう 思うわけです。実際にはしないんだけれども、抱きしめるような気持ちで、側にいて、側にいたいと、ただいたいと、私がいたいと、あるいは、スタッフの誰か がいたいと、してあげるじゃないです、いたいと思うだけです。そのいる中で、お母さんがね、子どもを抱く力が少し戻ってくるんです。お母さんが少しでも子 どもさんの背中に手を当てて、抱こうとすると、子どもさんも落ち着いてこられます。その時に子どもさん達が言う言葉がね、必ずあるような気がするんですけ ど、保育士さん経験されたことあるんじゃないかと思うんですけど。特に私なんか初めて出会った人ですよね。で、子どもさんがね私に「嫌いだ」って言うんで す。「馬鹿」って言うんです。「馬鹿あっちいけ」っていうんです。 お母さんはいらだってますから、「そういうことをよその人に言っちゃいけません」って いうんですけど、「馬鹿あっちいけ」って言った子どもさんにお母さんが注意したことについて私はお母さんに何も言わない様にするんです。その時は子どもさ んに「そうだよね、おばちゃん嫌いだよね、大事なお母さんとこうやって話そうとしてるもんね。今、僕だけのお母さんでいて欲しいのに、おばちゃんお母さん と話そうとしてるもんね。嫌だよね」って言うと、お母さんがそれを聞いておられてすごく気持ちはいらだっているんですけれども、表情が変わるんです。

子どもさんがお母さんを求めていることはお母さんはとってもよくわかっている、でも自分も上手に表現できないし受けとめられない。その受けとめられない所 にまたいらだちの気持ちが出てきているのかな。でも子どもさんがよそのおばちゃんにむかって、初めて会った人に「馬鹿あっちいけ」って、「おまえなんか あっちいけ」って、時には「死んでしまえ」なんて言う子どもさんがあると、こんなに激しく自分を求めているんだなという事を間接的に感じられるみたいで す。そうすると、お母さんが子どもさんを抱く力がまた更に強くなるように思います。30分も1時間も実はかかって、気持ちが落ち着いて帰られるまでにかか ることがあります。私達の仕事はその後、お家の方が望まれればお話を聴いていくことになります。望まれればって大事なことですよね、ご自分の中で気持ちの 整理が出来ると、私達ってもう必要ないんです。よくこれを「捨てられる」って言うんです。みなさんとお話聴いていい関係ができたなっと思ってたらある日突 然関係が切れるんですけれども、それはもう必要ないって事です。側で話を聞いたりする人はもういらない、あ、また捨てられちゃったけど、きっとあのご家族 はあそこで元気にしとられるんだろうな、っていうそういう気持ちで逆にうれしく思うことがあります。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-3

聴くこと

きくって言う字がね二つありますでしょ、その二つの内の一つの耳をかいて難しい方の「聴く」って言う字ですね下に心がある、あの聴く気持ちを実は持とう と思ったわけです。一所懸命聴くと言うことは、その方の気持ちに共感していく、っていうことですよね、共に感じるっていうことです。これは同感じゃないで すよね、同感だと私もそう思う、そう思うって言う部分ですよね、でもその方の内面がほんとに見えてないし、ほんとの苦しみが話せないでいる状態でわかるわ かる言われたって、何がわかるのよって思うでしょ。私すごいあまのじゃくなんですよ、だから、そんなこと私、言って欲しくない、私同感はして欲しくない、 でも自分の言いたいことを理解して欲しい、それはずっと思ってましたので、共感する気持ちでお話を伺おうと、思ったわけです。同感という言葉に似た言葉で 同情というのがあるんですよね、大変だねとかね、もうすごいでしょとかっていって、辛いねーっとか言う、その上から見下ろしたようにして何か物事を言われ ることも皆さん嫌ですよね、で、それも、同情も違う、同感も違う、でも、共感ならきっと出来ると思ったんですけれども、実はそれも不安がありました。あの ね、聴くということ、それから共感するということにはね、とてもたくさんの勉強をこちら側がしなくちゃいけないんですよね。聴いて、共感して、その後みな さんの中で起きていく心の動きとか、それから考えをまとめていく段階も一緒に過ごしていくわけですので、こちら側が何の勉強もしていなければ、ただのお話 を聞く、井戸端会議でね、うんわかるわかるって言ってるおばさんになってしまうわけです。でも私達はせっかくこの場所をいただいて、お仕事をさせていただ いているならば、一所懸命勉強をして、しっかりと聴くということ、それから共感できるということっていうのは何なのか、知りたいと思ったわけです。それが すごく遅くて恥ずかしいですけど、3年目ぐらいからでした。なのでほんとはこの相談室は最初からそれが出来る人がいるべきだと、それも非常勤ではなくって しっかりと正職さんできちんとした体系の中でそれを聴いていく体制を取るべきだ、と今でもまだ実は思っています。

ちょっとね、この聴くなかで私が気が付いてきたこと、っていうのをねいくつか出してみたいと思います。私達の相談室では必ずみなさんからお話を伺ったこと は秘密を守ります外には出しません。それはもうお約束ごととしてみなさんにも申し上げています。お話しいただいた内容は出しません。ですので今日みなさん の前でお話しするのはそのままの話ではありません。少し個人のことだとわからないように変えますけれども、過度に修飾しているということはありません。か えって少し控えめにお話しすると思いますので、そのつもりで聴いてください。

まずね、一つ目です。私は出会ってお家の方とお話しするとすごく元気をいただきます。すばらしいなって思うんです、それはね、すばらしいっていう意味を ちょっと取り違えないでいただきたいんですけども、すごく理想に向かっていくすばらしい人、ってそういうことではないんです。ちょっとこの一つの例を挙げ させていただきたいと思いますけれども、ある健診で、1歳半の子どもさんを連れたお母さんがお見えになりました。どうもね、離婚しておられるようなんで す。子どもさんが家族づれをみると、とても寂しそうな顔をするっていうんです、お嬢さんがね、でその寂しそうな顔をするお嬢さんを見て、自分が選択を、こ の離婚を選択してお父さんという人を家族の中からなくしてしまったことは、私がいけなかったんだろうか、というお話を伺ったことがあります。さあ、みなさ んだったら、どういう風にお話を伺うかな。私、1歳半の子どもさんが浮かべる寂しい表情って、何かなって思ったんですよ、それでお母さんに、お母さんは子 どもさんの顔を見た時にどんな風に感じた?ってお尋ねしたんです。そのとき、家族づれを見かけた時にお母さん自身はどんな風に思った?っていう風にお尋ね したんです。でね、最初子どもさんの顔を見た時お母さんはほんとに申し訳なかったっていう気持ちを持ってしまったと、その家族づれを見た時に、お母さんが ね、寂しいなって思ったんですって、側にいて、家族がああいう風に何人もいていいなーって思ったんですって。

でそれをお母さんね、私は何も言わなかったんですよ。お話を伺っただけですよ。お母さんがしばらく考えておられて、「この子が寂しい顔をした時、私は自分 自身がすごく寂しかったです。それこの子きっと感じたんですね」ってお母さんの方からね、返ってきたんです。 私は何も言いませんでした。ん、ってきいて いたんですけれど、すばらしいなって思ったんですその時に。自分の心の中を見るっていうのはすごくつらいことだと思いますしね、でもその子どもさんの表情 を通じて自分の心の中をお母さんがしっかり感じてそれを初めてあった私の前で話してくださったんです。その後がまたすごかったんですよ。「私が寂しいと 思ってたらこの子が寂しいから、私はもう寂しいと思わないように、たくさんの友達とね話しながら行くようにします」とね。実はお友達からもその前にそうい うアドバイスをいただいていらしいです。「あなたが元気でいないといけないのよ」って。子どもさんをしっかりみてねっていう人は周りにいるかもしれませ ん。でもその方の友達ってすごいなーと思いました。おかあさんは友達にあなたが寂しいって思ってたり元気がなかったりするのはいけないから元気出そうねっ て励ましてもらってたんですって。そのことと私と出会って話をされたことの中からお母さんはもう自分で結論を出されてますよね、自分でこれからどうして いったらいいか、いこうかなってイメージをしっかりと持たれたと思うんです。これから先また迷って悩まれたりすると思うんですけども、誰から教えられたわ けでもなく、お母さんの中でその考えをまとめて行かれた、私は「聴く」と言うことはこういう事じゃないかな、と思ったんです。聴く場所と、時間と、ご自分 の気持ちを整理されるそういう所があることがいいのかな、と思ったわけです。…

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-2

乳児健診

先ほど、私のことを知っていてくださった保護者の方がいらしたので、私が出ている一番の大きな事業ですね、健診の事について、まずそのあたりからお話し したいと思います。ご存じのように、6ヶ月と1歳半と3歳児の健診があります。その中に、保健師でもない、心理士でもない、福祉事務所から人が出ていく、 というのはどういう事か、ということになりますよね。その中で、私がお話しさせていただくのは、実は、「子育てについて」、という話になります。まず、み なさんに出会って、みなさんが席についておられる前で、10人から15人ぐらいのグループの前で、お話をさせていただきます。そうするとね、「子育てにつ いて」っていうと、みなさんすごく緊張なさるんですよ。肩に力が入ってね、「どうせちゃんと育ててよっていうんでしょ」っていうね、そういう顔をお家の方 がねフッと顔に浮かべられるんです。そうなんですよね。「こういう風に育てなさいね」っていう事を健診では言われるものだって思ってこられると思います。 そこで私は子育てについて「こうやって子どもさんを育ててね」という話をするのではありませんっていうことを、一番最初にお話しします。

それはどうしてかっていうと、私自身も二人の子どもがいて、それもいろいろな土地で子どもを連れて歩いていましたので、そうですね、幼稚園二つ、小学校三 つ、中学校が二つ、幸いなことに、高校だけは一カ所ですみました。そういう風にね、子どもを連れて歩いていますと、子育てをすることでの、家族の負担、特 にね、お母さんですね、気持ちの負担というのがどれだけ大きいかそれも、いろんな条件の中で子どもを育てて必死でやってるのに、何で世の中の人ってこんな 風にわかってくれないんだろうっていうね、自分自身が辛い思いをしてきたので、せめて健診で出会うお家の方には、それを言わない、そうではない別の、子ど もさんを育てている事での辛さあるいは苦しさをわかるスタッフがこの市にはいっぱいいますよ、っていうこと、そのことだけは是非伝えたいと思って、そのお 話しをする為にそこの時間をいただいて参加させていただくようにしているわけです。

具体的にはどんなお話しをしますか、というとね、先ほど紹介がありましたけれども、私、理科系の人間なので、慣習に基づいてとかね、世の中全体がそうだか らとかね、みんながそうしてきたからっていうのね、あんまり好きじゃないんですよね。子どもを育てている時に一番不安に思ったのは、子どもがどうやって大 きくなっていくんだろう。っていうことだったんですね。で、そのあたりをちょっと整理して、どこかの機会で聴くことがあると、ずいぶんと楽じゃないかなと 思ったんです。この中に、保育士さんがだいぶいらっしゃいますよね。保育士さんは保育の勉強をしておられるので、0歳に子どもがこんな風に、1歳2歳がこ んな風にそれから3歳ではこんな風にっていう大きな流れがわかっている中で、子どもさんを見て行かれますので、子どもさんの先の姿や、現在の姿がつながっ て見えると思うんですけども、家庭で子どもさんをみておられたり、お仕事をしながら大変な中で子どもさんを育てておられると、毎日毎日追いかけられるよう な気持ち、すごく苦しいし、少しは勉強はしたり、本は読んだりしても、その知識が全部一つにまとまってこないようななんか不安な気持ち、ありますよね。そ のあたりを少し整理して、健診というのはすごくいい場所ですので、お家にかえって今日健診があったよって、こんな話をしたよ、私はこう思ったよ、っていう ことが、わりあいと一年の内で一回しっかりと言える場所、だったりするので、その場所を使わせていただいて、子どもってこうやって大きくなっていくんです ね、って、大変ですねっていう話をするようにしています。いただく時間は五分もありませんので、すごく早口で、関東弁でしゃべるかもしれませんが、早口で お話しします。

まず、0歳の時、6ヶ月健診の時、お話しします。6ヶ月の時、0歳の時、子どもさん達が覚えていかれる事があるんですよっていう話をします。それは、人 が好きだなーという気持ち、人といると安心だなーという気持ち、それを0歳の時に子どもさん達はお家の方の中にいて、自然に自然に覚えていくんですねって いう話をするとね、とてもねお母さん達が軟らかい表情になられますお父さんもちょっと恥ずかしそうだけど、「ふん」みたいな顔をされます。これは保育士の 方はよくご存じだと思いますけど、基本的信頼感っていうんですよね、人と人との間の、「人を信じていいんだ」っていう一番の根っこになる基本的信頼感って いうそれを、言葉を換えて人が好きだなーとか、お家の人といると安心するなーって言う気持ち、そういう気持ちに例えてお話しするとね、とてもよくわかって いただけるような気がするんですけどどうでしょうか。

それちょっとわかりにくいわという方があったら、後でまた別の言い方を教えていただけたらすごく嬉しいと思います。それをお話しして0歳の時にそういう 安心した気持ちを持たれた子供さんは今度1歳半健診の時ですね、ものすごく良く動いて遊ぶでしょうと、お家の中をぐちゃぐちゃにしますよね、それはお家の 方が側におられて、安心した気持ちを持ってるから出来るんですね、っていうと、いやな行動ですよね、お家の中かき回されますますからね、ぐちゃぐちゃです もんね、どんなにわかっていてもいやだなと思うのが本音だと思うんですけども、そうなんだ、ちゃんと0歳の一年間この子は家族の中で守られてきた思いを 持ってるんだなーっていう、ちょっと安心の気持ちをもたれるんじゃないかなーと思って話しします。そして3歳ですね、3歳は反抗期です。もうお母さん達健 診の場ではほんとにうんざりしておられます、1歳半の忙しさとまた違う忙しさ、自分の自我が出てますから、何でも自分でやるっていう、出来ること少ない し、子どもさんの親への攻撃の言葉でみんなぼろぼろになってこられるんじゃないかと思います。そうじゃないでしょうか。で、どうしておきるかはとってもよ くね、ご存じなんです。どうして反抗期が起きてくるか、とてもよくご存じでもね、このへんの気持ちがね(胃のあたりを指す)、それがね、納得できないです よね、煮えくりかえりますもんね、で、そのことをお話しするのに、0歳の時にお家の方の中で安心して気持ちを持って1歳、2歳、安全な環境の中でしっかり …

第3回講演会 ひとりでがんばらないで 3-1

米子市役所家庭児童相談室
家庭相談員
福島 史子先生

-家庭児童相談室とは

米子市では福祉事務所、児童家庭課の中にあります。
子どもさんのいる家庭の経済的なこと、離婚、家族関係、病気、障害のこと、手当てのこと、福祉の制度のこと・・・・・,
時には子どもにつらくあたってしまうこと・・・・・・いろいろな相談にのってくれます。
6ヶ月、1歳6ヶ月、3歳児健診では「児童家庭課」という名札をつけて一時保育や子育て支援センターの話もします。
福島史子先生は児童家庭課のスタッフで、あたたかいまなざしの励ましで、実質的な子育て支援を実施しておられます。

みなさんこんにちは、失礼します。
高い所からなので恥ずかしいですけれども。顔を見たことがあるとあるよという方と、私が皆様のお顔を見て、あ、この方知っているという方が結構いらし て、ちょっと恥ずかしい思いですけれども。私、を健診で見かけたことがあるという保護者の方、中にいらっしゃいますか?ほんと、うれしい。そうですか、こ の7年でどうもやつれたようで、昔と違って年取ったみたいといわれながら、そうでしょ、笑っておられます。そういう仕事です。今ご紹介していただきました けれども、実際には高校や中学で教えた経験はないです。免許しか持っていません。堅苦しい人間ではありません。今日は、ここでお話しさせていただけること をとても嬉しく思っておりますが、私のようなものでいいのかなー、という気持ちも実は、あります。この講演会はとてもすばらしい先生方をお招きしておられ るので、地元のそれも実は市の非常勤のものがここで何がお話しできるかわかりませんけれども、たくさんのみなさんとこの米子で出会わせていただいたその中 から私の感じたことを私なりに話してみたいと思います。よろしくお願いいたします。

家庭児童相談所とは

では、早速ですけれど、先ほど家庭児童相談室というのはどういう所かというお話をしていただきました。福祉事務所の中にありまして、たとえば、保護者の 方ですと、児童手当の手続きにこられたりしたときにお寄りになられる、それから、おじいちゃんおばあちゃんがいらっしゃると、隣の長寿社会課にいらしたり する。丁度、そうですね、駐車場側から入っていただいて、市役所の中に大きな階段がありますけど、その真ん前になります、大変忙しい窓口です。その中にな ぜ相談室があるかというところからちょっとお話ししたいと思います。家庭児童相談室というのはね、全国の福祉事務所の中、980カ所くらいあります。

12月に全国研修にいって参りました。いろんな所からね、相談室の方が集まっておられました。実は、家庭児童相談室というのは、児童相談所とは違う、名前 は似てますけども違います。市、あるいは県の福祉事務所の中に設置されているということで、実際にはこういう風な事をしなさいという細かい決まりがありま せん。なので、職員もいろいろな人が配置されています。全国的に見ますと、特に関西では臨床心理士さんが入っておられるところが多いです。ですので、ご家 族の方に出会って、その話を伺って、治療や、カウンセリングもできると、そういう相談室も実はあります。それから、児童相談所の中にいて、心理判定員とい う仕事をしている、そういう相談室もあります。米子市の場合は、市の福祉事務所に設置ということで、相談業務だけをしていいというとてもいい役割をいただ いております。忙しい市ですと相談室の人も事務にあたるとか、それから保育料の徴収にあたるとか、そういうお仕事がどうもくるようなんですけれども、米子 市の場合は、相談室は、相談業務だけしてよろしいよという、お役目をいただいています。ただし、正職ではありませんのでね、私のように、途中から採用され るものがいるわけです。

私が、相談室に入りましたきっかけというのは、実は教育委員会に書類を出していたという経過があります。それで、教育委員会に出していた書類で、こうい う仕事があるけれどもしてみないか、と声をかけていただいた、それで受けてしまった私は、ほんとに、あほな人だと思いました。これは、みなさんに出会って からそう思うようになりました。私の生活は関東が長いですけれども、関西でもずいぶん長く暮らしてきましたし、子どもを連れて移動して歩いていましたので ね、いろいろな土地の、いろいろな習慣や、いろいろな職場を見てきたんですけれども、自分がこの仕事に就くには、もうちょっとしっかりと考慮して入らなけ ればいけなかった。最初のほうに出会った方達にはほんとにご迷惑をかけたという、後悔の念ばかりが続いた1年、2年、そういう時代がありました。それにつ いては少し、後で説明したいと思います。そのことを説明すると、相談室という所がどういう仕事を本当はしなきゃならないか、っていうことがみなさんにわ かっていただけると思います。…